欧州10枠、翌年残れたのは7人
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- 欧州ツアー上位10人を米男子ツアーへ直結させる新ルート。
- 初年度10人のうち6人が成績で翌年資格を守り、1人が欧州経由で再取得した。
- 制度の仕組みと「7人残留」の中身を追う。
2022年、米男子ツアーとDPワールドツアーは提携を2035年まで延長し、その中で新しい昇格路をつくった。翌年から、欧州ツアーの年間順位「レース・トゥ・ドバイ」で上位に入った選手のうち、すでに米男子ツアーの出場資格を持つ選手を除いた10人に、翌季の米男子ツアーカードを与える仕組みだ。
これまでの予選会だけとは別に、欧州ツアーの1シーズンそのものが米国への選考ルートになった。しかも資格を得た選手は欧州ツアーの資格も維持できる。制度の狙いを一言でいえば、二つのツアーを「提携」だけでなく、選手の昇格経路で直接つないだことにある。
10枠は同じ条件でもない。初年度の制度では、この10人の最上位者は米男子ツアーで通年の優先資格を得て、ザ・プレーヤーズ選手権にも出場でき、シーズン途中の再順位付けを受けない。残る9人も、下部ツアーや予選会から上がってきた選手より上の出場順位から始まるが、マスターズ後とウィンダム選手権後に再順位付けされる。欧州での順位が入口を決めても、米国でその席を守るには改めて結果が必要になる設計だった。
では、最初の10人は実際に残れたのか。2024年にこの制度で加入したのは、アドリアン・メロンク、ライアン・フォックス、ビクトル・ペレス、トービヨン・オルセン、アレクサンダー・ビョーク、サミ・バリマキ、ロバート・マッキンタイア、マチュー・パボン、ホルヘ・カンピージョ、久常涼の10人だった。
| 選手 | 2024年最終順位 | 勝利 | 2025年の米男子ツアー資格 | |---|---:|---:|---| | アドリアン・メロンク | 219位 | 0 | なし | | ライアン・フォックス | 118位 | 0 | 維持 | | ビクトル・ペレス | 83位 | 0 | 維持 | | トービヨン・オルセン | 170位 | 0 | 欧州上位10枠で再取得 | | アレクサンダー・ビョーク | 179位 | 0 | なし | | サミ・バリマキ | 123位 | 0 | 維持 | | ロバート・マッキンタイア | 17位 | 2 | 維持 | | マチュー・パボン | 17位 | 1 | 維持 | | ホルヘ・カンピージョ | 154位 | 0 | なし | | 久常涼 | 93位 | 0 | 維持 |
目立ったのはマッキンタイアとパボンだ。2人で計3勝を挙げ、最終戦まで進んだ。一方、制度全体を見ると、10人のうち2024年の米男子ツアー成績だけで翌年のフル資格を守ったのは6人。オルセンは欧州ツアーへ戻って再び上位10枠を取り、2025年の資格を取り直した。つまり初年度10人のうち、翌年も米男子ツアーの資格を持ったのは7人だった。3人はフル資格を残せなかった。
この「7人」という数字は、制度を見るうえで成功者2人の優勝数より重要だ。上位10枠は、欧州で好成績を残せば米国へ行けるだけの招待券ではない。入口は開くが、その後は米男子ツアーの競争の中で資格を守る必要がある。初年度は7割が翌年にもつながり、そのうち1人は欧州側の制度をもう一度使って戻った。
制度はその後も続いている。2025年分、2026年分にも10枠が設定され、2026年は制度開始から3年目。中島啓太や李昊桐らが対象となり、発表後にローリー・カンターが辞退したためダン・ブラウンへ枠が繰り下がる更新もあった。2026年組はシーズン途中なので、初年度組と同じような「翌年に何人残ったか」という最終評価はまだできない。
では欧州ツアー側は何を得たのか。確認できるのは、米男子ツアーへの明確な昇格路を持ちながら、選手が欧州ツアーの資格も維持する二重資格の仕組みだ。反対に、上位選手が米国へ移ることで欧州ツアーの競争力や視聴がどう変わったかは、公開された一次資料だけでは制度単独の影響を切り分けられない。
2022年の提携で変わったのは、「欧州で勝つ」と「米国へ行く」の間にある距離だった。最初の10人では7人が翌年にも米男子ツアー資格をつないだ。全員が定着したわけでも、成功者だけの制度でもない。欧州での1年を米国への選考に変え、その先はもう一度結果で席を守らせる。それが、この10枠の実像だ。