五輪ゴルフに124年ぶりのチーム戦
GOLF DNA編集部🇺🇸

3行まとめ
- 五輪ゴルフは2016年に男女別72ホールの個人戦として復帰したが、ロサンゼルス2028では男女1人ずつの国別チーム戦が加わる。
- 1904年以来124年ぶりとなるチーム競技は、16組が四球とフォアサムを1日ずつ戦う設計だ。
- 復帰時の個人戦から何が変わり、国際ゴルフ連盟と国際オリンピック委員会はなぜ新種目を加えたのかを追う。
五輪ゴルフは2016年、リオデジャネイロ大会で112年ぶりに復帰した。競技は男子と女子を分け、それぞれ72ホールの個人ストロークプレーだった。
ところがロサンゼルス2028では、そこにもう一つ競技が加わる。男女1人ずつが同じ国のチームを組む混合チーム戦だ。
ゴルフの五輪チーム競技としては、1904年セントルイス大会以来124年ぶりになる。
復帰したゴルフは、まず「個人戦」だった
ゴルフの五輪復帰が決まったのは2009年10月9日。2016年のリオ大会では、男女それぞれ60人が72ホールの個人ストロークプレーで争った。
当時の資料では、この方式はメジャー選手権の競技形式を踏襲したものと説明されている。
ここで重要なのは、「2016年にチーム戦が採用されなかった理由」を一つに決めつけられる資料は確認されていないことだ。チーム戦が何かの理由で却下されたというより、復帰時に正式採用された設計が男女別の個人72ホール戦だった、というところまでが確認できる事実になる。
その個人戦中心の構成が、ロサンゼルスで初めて広がる。
124年前のチーム戦とはまったく違う
五輪ゴルフには、実はチーム競技の前例がある。
1904年セントルイス大会では、10人を1組とする36ホールのチーム競技が行われた。6チームが登録したものの、実際に競技したのは予定していた2チームと、現地選手から編成された1チームだった。
2028年に戻るチーム戦は、この方式の復活ではない。
ロサンゼルス大会では1チーム2人。同じ国の男子1人と女子1人が組む。しかも両選手とも、まず男女それぞれの個人戦への出場資格を持っていることが条件になる。
個人戦とは別の選手をチーム戦だけのために連れてくる仕組みではない。すでに五輪へ出場する男女を組み合わせて、新しい競技を追加する設計だ。
16チームはどう決まるのか
2026年時点の資格制度では、混合戦は16チームで争う。
男子個人戦と女子個人戦の両方に選手を出せる国を、混合チーム用ランキングで順位付けして出場国を決める。開催国の米国には1チームの開催国枠があり、ランキングですでに出場権を得た場合は次の対象国へ枠が回る。そのうえで各国・地域のオリンピック委員会が、個人戦に出場する男女から1人ずつをチームに選ぶ。
つまり、世界ランキング上位の男女を単純に足しただけで決まるわけではない。まず個人戦の出場資格があり、そのうえで国別ランキングと開催国枠から16チームを決め、最後に各国・地域のオリンピック委員会が男女1人ずつを選ぶ。
この仕組みによって、個人競技だった五輪ゴルフに「国として2人で戦う」層が加わる。
1日目と2日目で、ゴルフそのものが変わる
混合戦は36ホール。2026年9月に確認できる現行案では、1日目が四球、2日目がフォアサムだ。
四球では、2人がそれぞれ自分の球をプレーし、各ホールで良い方のスコアをチームスコアにする。2人のうちどちらかが崩れても、もう1人がカバーできる。
フォアサムでは一転して、2人が1つの球を交互に打つ。ティーショットの担当もホールごとに交互になるため、相手が次に打つ場所まで含めて2人でスコアを作ることになる。
同じ男女ペアでも、1日目はそれぞれの強みを出しやすく、2日目は一つの球を共有する。個人戦72ホールとは違う競技性を、2日間の中で二つ見せる設計になっている。
なぜ今、混合チーム戦なのか
2025年4月、国際オリンピック委員会の理事会が混合チーム種目の追加を承認した。
国際ゴルフ連盟の説明では、パリ2024までの五輪ゴルフの勢いを伸ばし、新しい形式によってゴルフへの注目を広げること、そして選手側からも同じ国の選手と一緒にプレーしたいという強い意向が示されていたことが理由として挙げられている。
一方、五輪競技全体を選ぶ側では、男女平等、世界的な魅力、費用や運営の複雑さ、選手中心といった原則が判断材料になる。
これらを「男女混合なら盛り上がるから」の一言にまとめるのは正確ではない。選手からの要望、新形式による注目拡大、五輪全体の競技構成の考え方が、それぞれ別の根拠として示されている。
しかも新種目は、個人戦に出る選手を使う。新たに大人数の選手枠を作らず、既存の五輪出場者から16組を構成できる点も制度設計の特徴だ。
すでに競技順は一度変わっている
開催は2028年だが、ルールはまだ完全な最終版ではない。
2025年4月の追加発表では、1日目がフォアサム、2日目が四球とされていた。その後、2025年12月以降の資料と2026年の現行ページでは順序が逆転し、1日目が四球、2日目がフォアサムになっている。
現行の技術規程も草案で、今後変更される可能性が明記されている。
だから、現時点で確定しているのは「男女1人ずつの16チームが36ホールで競う」という骨格と、2026年時点の競技方式までだ。
2016年に個人戦だけで戻った五輪ゴルフは、東京、パリと大会を重ね、ロサンゼルスで初めて男女ペアの国別競技を加える。
124年ぶりに戻るのは、昔の10人制チーム戦そのものではない。個人競技として復帰したゴルフに、同じ国の男女が一つのスコアを作る新しい競技を重ねる。そこがロサンゼルス2028で起きる一番大きな変化だ。
出典:igfgolf.org(2・3・4・5・6・7) / library.olympics.com(2) / The R&A / USGA