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握る力には人ごとの波形がある

GOLF DNA編集部🌐

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3行まとめ
  • グリップ圧を一つの正解値で決めるより、研究がはっきり示しているのは個人差だ。
  • 2008年研究では各ゴルファーの個別ショットと本人平均波形のクロス相関が全員0.95超となり、2014年にはドライバーと7番アイアンでも共通性が残った。
  • ただし、その固有パターンが最適な握り方や好成績を意味する証拠はまだない。

「グリップは何割の力で握ればいいのか」。一つの数字にしたくなる問いだが、握る力を実際に計測した研究を見ると、先に目立つのは万人共通の値ではなく、人ごとに違う「力の波形」だった。

ここでいう波形は、スイング中に握る力がどのタイミングで増え、どこで弱まるかという時間的な変化だ。強く握る人、弱く握る人という単純な比較だけではない。

同じ人は、かなり似た力の入れ方を繰り返した

2008年の研究では、能力の異なるゴルファーを各測定方式で20人対象に、標準的なドライバーショットを1人10〜12球計測した。クラブ側では84点、手袋型では31点のセンサーを使い、インパクト位置をそろえて力の変化を比較した。

結果ははっきりしていた。同じゴルファーの中では力の波形の再現性が高く、ゴルファーが変わると波形は大きく異なった。

全文資料では、各ゴルファーの個別ショットと本人の平均波形を比べたクロス相関が全員0.95を超えた一方、別人同士で同程度まで似た例は1ケースだけだった。研究者はこの個人差を、ゴルファーごとの「グリップ力の固有パターン」と表現している。

つまり、毎回まったく同じ力で握っているという意味ではない。だが、力を入れる順序や変化の形には、その人らしさがかなり残った。

ドライバーから7番アイアンへ替えても残った

次の疑問は、クラブが変わればそのパターンも消えるのか、だ。

2014年の研究は、ハンディキャップ0〜7の低ハンデ8人が、自分のドライバーと7番アイアンを打つ条件で比較した。個人内のばらつきは総力の標準偏差7%未満。さらに、ドライバーと7番アイアンの力の波形には、共通性を示す決定係数0.86が報告された。

クラブの長さも用途も違う。それでも同じ人の中では、握る力の時間的なパターンにかなり強い共通性が残ったことになる。

2008年の「人が違えば波形が違う」という結果と合わせると、グリップ圧は単一の絶対値だけでなく、個人ごとの時間パターンとして見る意味がある。

「その人固有」と「その人に最適」は別の話

ここが最も重要な境界だ。

個人固有の波形があることは、その握り方が最適だという証明ではない。今回確認した研究材料には、固有パターンそのものが飛距離、方向性、打点、スコアを改善すると示した因果証拠はない。

逆に言えば、「自分はいつもこの握り方だから正しい」とも、「上級者と同じ圧にすれば良い」とも、この研究からは言えない。

2014年の対象も低ハンデ8人と小規模で、技能層、性別、握り方が違っても同じ傾向がどこまで続くかは十分に分かっていない。

2026年までに計測は進んだが、万能の正解値は出ていない

計測技術自体はその後も進んでいる。2020年には27人を対象に、指へ無線センサーを付けて中番手アイアンのグリップ力を測る研究が行われた。手の関節炎がある人とない人、12種類のグリップ設計を含む比較だった。

2024年には柔軟な圧力センサーを使い、ゴルフを含む7競技で熟練者と初心者を比較する研究も出た。ゴルフは熟練者1人・初心者1人が7番アイアンを各10回打つ小規模な条件で、ピーク値そのものには有意差がなく、力をかける時間の指標には差が出た。

さらに2025年の手袋型圧力計測システムの研究は2026年に公開され、3人が5段階の主観的な握り方でスイングする小規模な検証が行われた。

ただし、これらは2008年と2014年の「個人固有パターン」を大人数で直接追試した研究ではない。2026年9月までに確認できた材料では、別の技能層や性別まで含めた大規模な直接追試も、市販センサーで万人共通の絶対的な正解圧を示せるという独立した検証も確認できていない。

だから現時点の答えは、かなり限定的だ。

同じゴルファーは似た力の入れ方を繰り返しやすく、人が変わればパターンは大きく変わる。クラブが変わっても、その人らしい波形は残り得る。ここまでは研究で支えられている。

その先の「何割で握れば一番飛ぶのか」「どの波形なら曲がらないのか」は、まだ別の問いだ。

グリップ圧を考える順番として研究が示しているのは、万人共通の正解値を決める前に、まず一人の中でどんな力の入れ方が再現されているのかを捉えることだ。

出典:journals.sagepub.com2tandfonline.comrepository.lboro.ac.uknature.comjstage.jst.go.jp