座位カート走行18区画中14区画は変化なし
GOLF DNA編集部🇺🇸

3行まとめ
- 2024年の全米アダプティブオープン会場で座位ゴルファー用カートを実走させた試験では、18区画中14区画で有意差なし。
- ソロライダーは含水率15%・25%・35%でも滑らかさと直進性の低下が確認されず、一部の乱れも90分後には検出されなくなった。
- ただし砂基盤ベント、無降雨、特定車両という限定条件だ。
グリーンに車両が乗れば、転がりはすぐ悪くなる。そう考えて乗り入れを制限するのは自然に見える。
では、座位ゴルファー用の1人乗りカートは、実際にグリーンの滑らかさや真っすぐさをどこまで損なうのか。
2024年、全米ゴルフ協会(USGA)はU.S. Adaptive Open(全米アダプティブオープン)の会場だったSand Creek Stationで、実際にカートをグリーン上へ走らせて測定した。
結論から言えば、良好に管理された砂基盤のベントグリーン、雨なし、特定の車両と走行条件では、影響はかなり小さかった。個別18区画のうち14区画では有意差がなく、ソロライダーでは含水率を変えても滑らかさと直進性の低下が確認されなかった。
ただし、これは「どのグリーンでも乗り入れて問題ない」という実験ではない。
含水率15%・25%・35%で走らせた
第1試験のグリーンは、L-93とSouthshoreのクリーピングベントを混植した12インチの砂基盤で、暗渠排水を備えていた。日々0.125インチで刈られ、試験中に雨は降っていない。
比較したのは、カートを走らせない区画、ソロライダー(SoloRider)、パラモーション(ParaMotion)の3条件。体積含水率を15%・25%・35%、それぞれ±2%に整え、走行前と45分後、90分後、135分後に測定機器GS3で滑らかさと真っすぐさを調べた。
ソロライダーでは、3つの含水率のどの条件でも、走行後に滑らかさや真っすぐさが低下したとは確認されなかった。
「水分が多ければすぐ悪化する」という単純な結果にはならなかったわけだ。ただし、試した上限は35%前後で、降雨直後やそれ以上に濡れた状態まで確かめたものではない。
一部で出た乱れも90分後には戻った
パラモーションでは、18区画中4区画に一時的な変化が出た。
第1反復の3区画では、真っすぐさを示す値がおよそ0.5〜0.7から、走行45分後にはおよそ1.1〜1.4へ上がった。しかし90分後には元の水準へ戻った。
別の含水率25%の区画でも、滑らかさと真っすぐさに変化が出たが、こちらも90分後には検出されなくなった。
つまり「まったく影響しなかった」わけではない。一部の条件では測定できる乱れが生じた。ただ、その変化は一貫しておらず、確認されたものも長く残らなかった。
5台が同じ出口を通っても明確な悪化は出なかった
第2試験では、さらに実際の運用に近い形で集中走行を試した。
3つのグリーンに25フィートの集中出口を設け、ソロライダー3台、VertaCat1台、ParaGolfer1台を同じ場所から通した。
4番と6番グリーンでは有意差なし。8番グリーンでは滑らかさに0.85ポイントの差が出て、統計上の値はp=0.0493だった。
ただ、この0.85ポイントは、GS3の単回測定精度とされる約±1.0の範囲内だった。研究上も、実用上明確な滑らかさ低下とまでは扱えない結果だった。
少なくともこの試験では、「複数台が同じ出口を通れば明確にグリーンが乱れる」という結果にはならなかった。
まだ試していない条件の方が重要になる
ここから先を広げすぎると、この研究の意味が変わってしまう。
試験したのは、良好に管理された砂基盤のベントグリーンだ。急旋回、異なるタイヤ圧、長時間停止、過剰なサッチ、乾燥ストレス、自然土壌、悪天候といった条件は十分に検証されていない。
研究者自身も結果を予備的なものとして扱い、運用では直線的に走ること、大きく旋回すること、位置調整はグリーン外で行うことを勧めている。
2025〜2026年の独立した直接追試も、今回の調査では確認できていない。Golf Course Managementに掲載された内容は同じUSGA研究の再掲で、別の追試ではない。
「車両だから一律禁止」と「どこでも走行可」の間にある
この実験から使える判断材料は、かなり具体的だ。
砂基盤の良好なベントグリーンで、雨が降っておらず、今回使った座位ゴルファー用カートを適切に走らせた範囲では、滑らかさや直進性への影響は小さかった。ソロライダーでは含水率15%・25%・35%で低下が確認されず、パラモーションの一部で出た変化も90分後には検出されなくなった。
一方、荒れた芝、別の土壌、雨直後、急旋回、長時間停止まで同じとは言えない。
だから、この研究は「座位カートなら全グリーンで自由に走れる」という許可証ではない。逆に、「グリーンに車両が入るだけで必ず転がりが悪くなる」と一律に決める根拠にもならない。
アクセスを確保しながら芝を守るなら、車両の種類だけでなく、芝の構造、水分、走らせ方、その日の状態まで含めて線を引く。その判断を実測へ近づけたのが、この18区画の試験だった。
出典:USGA / gcmonline.com