偽クラブはなぜ摘発しても消えない
GOLF DNA編集部🇨🇳

3行まとめ
- 主要メーカーの共同偽造品対策は2004年に始まったが、2026年1〜5月だけで中国の8件の摘発から計21万4780点が押収された。
- 2020年の12万点超摘発と比べると、ヘッド製造、組立、倉庫、発送、ネット販売へ分かれた供給網を追い続ける構図が見える。
- 主要メーカーが共同でつくる米国ゴルフメーカー反偽造作業部会は、2004年から活動している。
2020年、中国で偽造ゴルフ用品12万点超が押収され、15人が逮捕された。翌2021年には、その15人に合計42年の拘禁刑と罰金が科されたと業界団体が発表した。
それでも6年後、摘発は終わっていない。2026年1月の4件で10万5211点、5月の4件で10万9569点。5月11日時点の年内累計は21万4780点に達した。
ここだけを見ると「刑事罰まで科しても偽物が増えた」と言いたくなる。だが、押収数は市場規模でも販売数でもない。取締りで確認された量だ。公開記録から見えてくるのは、偽造品が一つの工場、一つの販売店を潰せば終わる構造ではないということだ。
2020年の摘発先は、工場だけではなかった
主要メーカーが共同でつくる米国ゴルフメーカー反偽造作業部会は、2004年から活動している。
2020年の大規模摘発では、4都市10拠点が対象になった。記録に出てくるのはクラブヘッド製造、シャフトやグリップの供給、組立工場、発送拠点、オンラインのチャットルームだ。
つまり偽クラブは、完成品を一か所で作って一か所で売るだけではない。少なくとも当時の摘発記録では、部品、組立、物流、ネット販売まで複数の場所に役割が分かれていた。
2026年にも、同じ種類の拠点が出てくる
2026年1月の摘発では、複数の組立拠点と偽クラブヘッド工場が確認された。5月には偽造ゴルフ用品の工場、組立拠点、二つの保管倉庫が対象になった。
2020年の記録にあった製造・組立と、2026年の製造・組立・保管には重なりがある。一方、2020年に確認された発送拠点やオンライン販売が2026年にどう変わったかまでは、今回の資料からは追えない。
だから「2021年の判決が効かなかった」とまでは言えない。同じ組織が続いたのか、別の業者に置き換わったのかも確定できない。ただ、刑事判決の後も、製造から組立、保管まで複数の供給拠点が再び摘発されている事実は残る。
共同対策は摘発だけではない
作業部会は2026年1月時点で、発足以来300件超の摘発に協力し、200人超の販売業者・流通業者が有罪となり、数千の違法サイトを閉鎖したと発表している。税関への研修、捜査支援、消費者への啓発も活動に含めている。
発足以来の押収数も300万点超としているが、これも偽造市場全体の大きさを示す数字ではない。どれだけ流通しているか、購入者が何人いるか、2020年から市場が拡大したかは、この数字だけでは分からない。
ネット販売や国境をまたぐ物流への対策も行われていることは確認できる。しかし、閉鎖したサイトが全体の何割なのか、取締りによって流通量がどれだけ減ったのかを示す連続データは今回の資料にはない。
21万4780点が示すのは「市場規模」ではない
2026年9月14日に公式ニュース一覧を確認した時点では、2026年の摘発に関する最新の公開更新は5月11日だった。5月以降の発表が見当たらないからといって、その後に事件がなかったことにはならない。
公開記録から「なぜ偽クラブが消えないのか」に答えるなら、最も具体的なのは供給経路の分散だ。2020年には部品供給、製造、組立、発送、オンライン販売。2026年にも製造、組立、保管が摘発対象になった。
20年以上の共同対策は、単に同じ偽物を何度も捕まえてきた記録ではない。製造から販売まで分かれた供給網の別々の地点を追い続けてきた記録でもある。
そして21万4780点という数字が示しているのは「偽造市場がこれだけある」という総量ではない。20年以上対策を続けた2026年にも、複数の製造・組立・保管拠点から、それだけの偽造品が実際に押収されたという現在地だ。
出典:globenewswire.com / finance.yahoo.com / hfgip.com / keepgolfreal.com(2・3・4) / sports.yahoo.com