グリーンの傷みを最も強く予測した「靴と歩く人」 転がりはほぼ別問題
GOLF DNA編集部🇺🇸

3行まとめ
- コーネル大学の研究チームが2019〜2023年の19試験、115変数を統合したところ、見た目の損傷では歩行者と靴底が主要な予測因子になった。
- 一方、ボール転がりの予測性能は低く、平均転がり距離は非交通区の97%。
- 見た目の荒れとプレー性能は同じではない。
グリーンに足跡が目立つと、「今日は柔らかいから仕方ない」「天気のせいだ」と考えたくなる。ところが、2019〜2023年に行われた19試験をまとめた研究では、見た目の損傷を予測するうえで強く表れていたのは、歩いた人と靴底の違いだった。
しかも面白いのは、その見た目の荒れが、そのままボールの転がり悪化を意味しなかったことだ。
コーネル大学の研究チームは、50モデルを超えるゴルフシューズ、8ブランド、4人の歩行者、2種類のパッティング面を使った試験を統合し、靴底、歩行者、芝面、ラウンド数、硬さ、水分、気象など115変数を解析した。
19試験・115変数で「見た目の傷み」を予測した
対象は、主にクリーピングベントグラスの面と、クリーピングベントグラス約60%・一年生ブルーグラス約40%の面。2019年は240ラウンド相当、2020〜2023年は140ラウンド相当の歩行負荷を与え、靴による交通損傷を評価した。
見た目の損傷を予測するモデルの決定係数は0.48だった。共同著者の整理では、上位に入った2人の歩行者と2種類の靴底に関する項目だけで、変数重要度の65%を占めた。
さらに歩行者と靴底の項目を外すと、このデータで見た目の損傷を予測する決定係数は0.01未満まで落ちた。
少なくともこの19試験では、硬さ、水分、気象などだけを見ても、目に見える足跡ダメージをうまく説明できなかったことになる。
ただし、ここで「この靴底だから何点悪化する」「この歩き方が原因だ」とまでは言えない。使われた機械学習の変数重要度は、予測にどれだけ寄与したかを見る指標で、原因と結果や効果の方向を示す数字ではない。
見た目が荒れても、転がりは同じようには崩れなかった
研究でもう一つ測ったのが、交通後のボールの転がりだ。
交通を受けた区画の平均転がり距離は、同じ試験の非交通区を1とすると0.97だった。つまり平均では対照の97%だった。
ところが、転がり距離を予測するモデルの決定係数は0.16と低かった。歩行者と靴底を外しても0.15で、ほとんど変わらない。
ここが見た目の損傷とは大きく違う。
見た目の傷みでは、歩行者と靴底を外すと予測性能がほぼ消えた。一方、ボールの転がりでは、そもそもモデル全体の予測性能が高くなく、歩行者と靴底の有無でも大差がなかった。
だから「足跡が多いグリーンほど、必ずボールも転がらなくなる」とは言えない。見た目の傷みとプレー性能は、少なくともこの研究では別の問題として現れた。
「どの靴が悪いか」を決める研究ではない
試験した靴底は、固定式の突起、交換式の突起、その混合型に分類され、50モデル超・8ブランドに及んだ。
ただし、この統合解析から特定のブランドや靴底カテゴリーについて「何%傷みが増える」といった因果的な順位は出せない。歩行者も4人だけで、芝面も2種類だ。
研究資金はアクシネットとフットジョイが2016年以降支援しており、論文では利益相反なしと申告されている。したがって、結果をそのまま特定製品の優位性へ結びつける材料にもならない。
2026年は別芝種でも試験中、直接の独立再現はまだない
研究はそこで終わっていない。
2026年2月時点で、同じコーネル大学のチームは、ベイヒルのオーバーシードしていないティフイーグル面と、ロングボートキーのシーショア・パスパラムで靴の試験を続けている。ただし、その結果値はまだ公表されていない。
2021年には別の研究チームが、攻撃的な靴底による可視摩耗と管理処理を調べた研究を公表している。一方、2025年の115変数モデルそのものを独立チームが直接再現した査読研究は、2026年9月時点では確認されていない。
いま言える範囲は明確だ。
この19試験では、グリーンの「見た目の傷み」を予測するうえで、歩行者と靴底の項目が非常に大きな比重を占めた。しかし、その結果を原因や製品ランキングへ置き換えることはできない。そして、見た目が荒れたからといって、ボールの転がりまで同じように悪化するわけでもなかった。
グリーンを見た瞬間の印象と、実際のプレー性能は別に測る必要がある。今回の研究で最も興味深いのは、靴の違い以上に、その二つがきれいには一致しなかったことかもしれない。
出典:onlinelibrary.wiley.com / turf.cals.cornell.edu(2) / maggiereiter.com / acsess.onlinelibrary.wiley.com