屋根付きカートは雷の避難所ではない
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- 屋根付きでも開放型ゴルフカートは、雷の安全な避難所ではない。
- 米国の「最後の雷鳴から30分」と、日本の気象庁・競技運用を分けながら、退避先とプレー再開の判断を整理する。
- ゴルフカートは雨をしのげる。
雷鳴が聞こえたとき、「とりあえずカートへ戻れば大丈夫」と考えるのは危ない。
2026年の米疾病対策センターは、雷の際にゴルフ場のような開けた場所を離れ、ゴルフカートのような開放型車両を避けるよう案内している。米国立気象局が安全な避難先として挙げるのは、十分な建物か、窓を閉めたハードトップの金属製車両だ。
つまり、問題は「車輪が付いているか」「屋根があるか」ではない。開放型のゴルフカートは、安全な車両として示される条件に入っていない。
屋根付きカートでも避難所にはならない
ゴルフカートは雨をしのげる。移動も速い。だから雷でも、そのまま乗ってクラブハウスへ向かいたくなる。
しかし、公的な安全指針では開放型カートと、窓を閉めたハードトップの金属製車両は別物として扱われている。
米国立気象局は、屋外スポーツでの安全な避難先を「十分な建物」または「窓を閉めたハードトップの金属製車両」としている。小さな雨よけや簡易施設も安全な避難先とはしていない。
ゴルフ場で雷鳴を聞いたら、カートを最終避難先にするのではなく、安全な建物や条件を満たす車両へ移ることが基本になる。
「まだ遠い雷」でも待たない
米疾病対策センターは、雷が嵐からかなり離れた場所にも落ち得るとしている。雷鳴が聞こえた時点で、コース上に残って様子を見る前提ではない。
日本の気象庁も同じ方向だ。雷ナウキャストの活動度2〜4では直ちに建物の中など安全な場所へ避難するよう案内している。画面上で活動度が表示されていなくても、雷鳴が聞こえるなど雷雲接近の兆候があれば、速やかな避難を求めている。
「雨が強くなってから」「頭上で光ってから」ではなく、雷鳴そのものが退避判断の材料になる。
米国では最後の雷鳴から少なくとも30分
再開の目安は国や競技運用を分けて考える必要がある。
米疾病対策センターと米国立気象局は、最後に雷鳴が聞こえてから少なくとも30分は屋外活動を再開しないよう案内している。
一方、日本の気象庁は、単独の積乱雲による激しい現象は30分〜1時間程度で弱まることが多いとして、雷ナウキャストで状況を確認しながら安全な場所で通過を待つよう案内している。日本の公的資料で、米国と同じ「最後の雷鳴から30分」を全国一律のゴルフ再開基準としているわけではない。
競技ではさらに、主催者の判断が入る。
2026年日本シニアオープンの観戦案内では、雷雲接近時に雷マークを掲示し、雷発生時はサイレンを鳴らして係員の指示で安全な場所へ避難する運用が示されている。独立木、金属物、ゴルフカート、丘や高所も危険な場所として挙げられている。
現行のゴルフ規則5.7でも、委員会が競技を中断し、安全を確認して再開時刻を設定する。選手自身が雷の危険を合理的に感じた場合は、個別にプレーを中断できる。
ゴルフ場での死亡例は今もある
危険性は机上の話だけではない。
米国立気象局の記録には、2021年、2023年、2025年にそれぞれゴルフ場でプレー中の雷による死亡例が含まれている。
ただ、この3件から「ゴルフの雷事故が増えている」とは言えない。米疾病対策センターの2006〜2025年集計では、釣り、ボート、ゴルフ、屋外歩行などの余暇活動を合わせると雷死亡の約3分の2を占めるが、これはゴルフ単独の割合ではない。
ここで分かるのは、ゴルフ場での事故が近年も実際に起きていることまでだ。
カートへ逃げるのではなく、安全な場所まで移動する
雷鳴が聞こえた場面で覚えておくべき線引きは単純だ。
開放型ゴルフカートは安全な避難所ではない。米国の公的指針では、十分な建物か、窓を閉めたハードトップの金属製車両へ移る。日本では気象庁の雷情報と現場の避難指示を確認し、競技なら委員会の中断・再開判断に従う。
そして米国の「最後の雷鳴から30分」という目安を、そのまま日本全国の競技ルールだと読み替えない。
屋根があることと、雷から安全であることは別だ。ゴルフ場で雷鳴が聞こえたら、開放型カートにとどまらず、安全な建物や条件を満たす車両へ速やかに避難するのが公的指針に沿う。
出典:cdc.gov(2) / weather.gov(2・3・4) / jma.go.jp(2) / JGA / The R&A