砂バンカーゼロを成立させた海風
GOLF DNA編集部🇺🇸

3行まとめ
- 2020年に開場したオレゴン海岸のシープランチには砂バンカーが一つもない。
- 砂を運び込み、強風の中で維持する代わりに、自然の起伏と芝のくぼみ、太平洋からの風を障害として使った設計だ。
- 穏やかな日には難しさが薄れるという、このコースならではの限界もある。
2020年6月1日、オレゴン海岸のバンドン・デューンズにシープランチが開場した。ビル・クーアとベン・クレンショーが設計した18ホールには、砂バンカーが一つもない。
海沿いで砂を使わなかった理由は、見た目の奇抜さではなかった。設計者クーアの説明では、敷地はもともと砂地ではなく、バンカーを造るなら砂を外から運び込む必要があった。さらに太平洋にさらされた強風では、正式な砂バンカーを維持すること自体が大きな管理上の難題になる。米国ゴルフ協会の技術資料も、風の強い場所では砂が失われ、補充や作業が増える問題を説明し、シープランチを砂入りバンカーを設けなかった例として挙げている。
砂の代わりに置いたのは、芝と地形
砂をなくしたからといって、障害までなくしたわけではない。運営側の説明では、コースは芝のくぼみ、芝のバンカー、盛り上がった地形を使って難しさをつくった。木が少なく海へ開いた土地では、自然の起伏と太平洋からの風もショットを難しくする要素になる。
芝のくぼみは、砂バンカーの単純な置き換えでもない。バンドン・デューンズの農務責任者は、芝のバンカーにはウェッジが球の下へ入れられる程度に、少しふわっとしたライができるようフェスクを残すと説明している。砂とは違うライと傾斜から、回復方法を選ぶことになる。管理も砂面を日々ならす方式とは異なり、芝側の刈り込み頻度はかなり少ないという。
難しさを動かすのは太平洋の風
この設計で大きな役割を担うのが風だ。2020年の運営側の説明では、太平洋からの風がスコアを抑える一方、穏やかな日はスコアを出しやすいとも語られている。
つまり、シープランチの難しさは毎日同じではない。砂バンカーのような固定された障害を並べる代わりに、その日の風がコースの表情を変える。自然の起伏と芝のくぼみがそこへ重なり、18ホールの難易度をつくる。
ここは、この設計の面白さであり限界でもある。風が弱ければ、難しさも弱まる。砂バンカーをゼロにした方式が、風の穏やかな内陸コースでも同じように成立するとは確認されていない。
「砂ゼロ=安い」とは言えない
砂を使わないことで管理の手間が減る場面はある。米国ゴルフ協会は、強風で砂が飛べば補充や労務が増える仕組みを説明している。シープランチの農務責任者も、芝のバンカーは砂バンカーほど頻繁に手を入れないと話している。
それでも、シープランチで年間いくら維持費が減ったのか、何時間の作業が減ったのかという公表された定量値は確認されていない。「砂バンカーをなくしたから安い」と数字なしで結論づけることはできない。
シープランチが砂バンカーなしで成立した理由は、砂を省いたことではない。砂を置きにくい強風の土地で、もともとの起伏、芝のくぼみ、太平洋の風をそのまま設計材料へ変えたからだ。
穏やかな日には難しさが薄れる。その性格まで含めて、砂バンカーゼロは奇抜な省略ではなく、この場所の条件から逆算した設計だった。
出典:bandondunesgolf.com(2) / si.com / USGA / gcmonline.com