「アマチュアサイド」はアマだけではなかった 3mの傾斜パット実験で見えたプロとの差
GOLF DNA編集部🇯🇵

3行まとめ
- 「アマチュアサイド」は本当にアマだけの現象なのか。
- プロ12人と中級アマ12人が3mの傾斜パットを打った研究では、両群とも低い側へ外れる傾向が見られた。
- 一方、傾斜の認識、狙い、打ち出し、速度選択には差が出た。
曲がるパットを低い側に外すと、「アマチュアサイド」と呼ばれることがある。名前だけ聞けば、アマチュア特有のミスに見える。だが、実験で測ると話はもう少し複雑だった。
2024年12月31日にPLOS ONEで公開された研究は、JGTO・JLPGAのツアー出場プロ12人と中級アマ12人を対象に、3mの左から右へ曲がるパットを調べた。傾斜は1度と3度。各条件10球ずつで、1人20球、各群240パット、全体では480パットになる。
打った後の結果を見て次の一打を修正できないよう、参加者はシャッターゴーグルを使用。9台の光学式モーションキャプチャで、毎秒240コマ相当の計測を行った。
低い側へ外すのは、アマだけではなかった
結論から言えば、俗にいう「アマチュアサイド」のような低い側への偏りは見られた。ただし、それはアマだけの現象ではない。
ホール左端線を通過した時点の横方向位置平均は、1度の傾斜でプロが-0.33m、アマが-0.42m。3度ではプロが-0.15m、アマが-0.27mだった。アマの方が低い側へ寄る数値ではあるものの、群の差は有意ではなく、プロにも低い側へ外れる軌道が多かった。
つまり、「低い側に外した=アマだから」という言い方までは、この実験からはできない。
大きな差は「どこを狙って、どう打ち出すか」
プロとアマの違いがはっきり出たのは、狙いと打ち出しだった。
プロはアマより傾斜の上側を狙っていた。狙い角の群差はp=.001、効果量0.80。構えの向きも同方向でp=.040、効果量0.46、実際の打ち出し角もp=.035、効果量0.48だった。
単に頭の中で「もっと曲がる」と思っているだけではなく、狙い、構え、打ち出しまで一連の動きとして上側へ寄っていたことになる。
速度にも差があった。パターヘッドの最大速度はプロの方が低く、効果量は0.56。3度傾斜ではホール付近の球速もプロの方が低く、効果量0.55だった。
さらに、打ち出し角と最大速度の相関はプロがr=.84、アマがr=.41で、どちらも有意だった。狙う方向と速度を別々に決めるのではなく、組み合わせている可能性が見える。
アマは傾斜を小さく見積もる傾向が強かった
傾斜そのものの認識にも差が出た。
1度傾斜を過小・正確・過大に再現した人数は、プロが1人・9人・2人。アマは7人・2人・3人だった。3度ではプロが2人・4人・6人、アマが9人・1人・2人。アマは両条件で、実際より傾斜を小さく捉える人が多かった。
ここだけを見ると、「アマチュアサイドの原因は傾斜を読めていないから」と言いたくなる。
だが、3度条件で傾斜の再現と狙い角の関係を調べると、相関はr=.36、p=.083の弱い傾向にとどまった。傾斜を正確に認識すれば、そのまま正しい狙いになるというほど単純ではない。
「何度多く読めばいい」という答えは出ていない
この研究から見えるのは、アマの低い側へのミスを一つの原因だけで説明しにくいことだ。
アマは傾斜を小さく認識する傾向が強い。プロはより上側を狙い、構えと打ち出しもそこへ合わせ、速度も抑えていた。低い側へ外れる結果には、傾斜の認識、狙い、打ち出し、速度選択が重なっている可能性がある。
一方、この実験は人工芝約12フィート、3m、左から右へ曲がる1度・3度、24人という条件に限られる。3度条件では最終停止位置も直接測定できていない。
だから、「1度多く読む」「カップ何個分上を狙う」といった固定の補正値を、この研究から作ることはできない。
「アマチュアサイド」という言葉は、低い側へ外れた結果を表すには分かりやすい。ただ、その原因まで「読み不足」の一言で片づけると、実験で見えたプロとの差を取りこぼす。違っていたのは、傾斜の見え方だけではなく、狙い、打ち出し、そして速度まで含めたパットの組み立てだった。