ラウンド中の仕事スマホ、12回以上と5回未満で約0.8打差 私用では悪化との関連なし
GOLF DNA編集部🇿🇦

3行まとめ
- 5コースの平日クラブ競技後に186人を調べた研究では、仕事用途のスマホ利用だけがスコア悪化と小さく関連し、私用では同じ関係が確認されなかった。
- 12回以上利用群と5回未満群の平均ネットスコア差は約0.8打。
- ただし横断・自己申告研究で、スマホを減らせば0.8打縮むという因果は証明していない。
「ラウンド中はスマホを見ない方がスコアにいい」。感覚的にはもっともらしい。だが、2024年にオンライン公開された186人の研究は、スマホをひとまとめにすると見えない差を示した。
関係が出たのは「仕事用途」だった。私用のスマホ利用では、同じスコア悪化との関連は確認されなかった。
186人を、仕事スマホと私用スマホに分けて調べた
調査は5コースの平日クラブ競技終了後に行われ、最終標本は186人。男性が94%、平均年齢は55.84歳だった。
仕事用途として数えたのは、仕事の電話、メール、WhatsApp。私用は、個人的な電話、メール、WhatsApp、SNS、その他だった。
回答は「まったく使わない」から「常に使う」までの5段階で、実際の操作回数を端末から取得したものではない。仕事用途は3項目、私用は5項目を合算した自己申告の尺度だった。
この分け方が重要だ。研究は「スマホを触ったか」だけでなく、ラウンド中に仕事へ戻る利用と私的な利用を別々に見ている。
仕事用途だけ、スコア悪化と小さな関連
グロススコアを目的にした分析では、コースハンデ、性別、年齢、コース、スマートウォッチの通知などを考慮した上で、仕事用途のスマホ利用はスコア悪化と小さく関連した。
回帰表と本文で示された標準化係数は0.10。抄録では0.11と表記されているが、同じ原著内の丸め・表記差で、本稿では回帰表の0.10を主値とする。
一方、私用スマホの係数はマイナス0.04、p=0.31で、有意なスコア悪化との関連は確認されなかった。
つまり、この研究の範囲では「スマホを使うほど悪い」ではない。仕事用途と私用で結果が分かれた。
12回以上と5回未満で約0.8打差
著者は本文の補助比較で、仕事用途のスマホ利用が5回未満の群と、12回以上の群を比べている。
平均ネットスコアの差は約0.8打で、高利用群の方が悪かった。
ただし、この0.8打は回帰係数そのものではない。ネットスコアを使った群間の補助比較であり、「スマホを12回見れば0.8打損をする」という意味ではない。
主分析で仕事用途との関連は確認されたものの、効果は小さい。数字の面白さと、実際の大きさは分けて読む必要がある。
楽しさでは、仕事用も私用も直接の差は出なかった
研究はラウンドの楽しさも調べている。
ここでは、仕事用途と私用のどちらのスマホ利用も、楽しさを直接予測する有意な要因にはならなかった。
「仕事の通知を見るとスコアだけでなくラウンドもつまらなくなる」といったところまでは、この研究からは言えない。
「仕事スマホをやめれば0.8打縮む」とは言えない
一番大事なのはここだ。
この研究は、あるラウンド後に利用状況とスコアを調べた横断研究で、同じ人にスマホを使う日と使わない日を割り当てた実験ではない。利用頻度も自己申告で、記憶違いの可能性がある。
さらに、逆因果や未測定の要因も排除できない。仕事スマホの利用を減らした結果としてスコアが改善するかは、この研究では検証していない。
標本も平日のクラブ競技に参加した中高年男性が中心で、若いゴルファーや女性、週末の一般ラウンドへそのまま広げることはできない。
だから、この研究から導ける結論は「断スマホで0.8打縮む」ではない。
確認されたのは、186人の横断調査で、仕事用途のスマホ利用には小さなスコア悪化との関連があり、私用では同じ関連が確認されなかったこと。そして、12回以上利用した群と5回未満の群の平均ネットスコア差が約0.8打だったことだ。
スマホそのものより、「何のためにラウンド中に注意を戻しているのか」を分けて調べる必要がある。今回の研究が示したのは、その入口までだ。