目砂を4倍に増やしてもミミズの糞塚は減らず 3年試験で確認できなかった抑制効果
GOLF DNA編集部🇺🇸

3行まとめ
- 土壌を良くするミミズは、フェアウェイでは糞塚がボールの転がりや刈り込みを乱す存在にもなる。
- 2018〜2020年の試験では、年4回の目砂を続け、最終年には年間量を4倍にしても糞塚の有意な減少は確認されなかった。
- なぜ目砂が対策として期待されてきたのか。
ミミズは、芝にとって単純な「害虫」ではない。
土を動かすことで通気や排水を助け、有機物の分解や養分循環にも関わる。ところがゴルフ場では、そのミミズが地表に残す糞塚が別の問題を生む。ボールの転がりを乱し、刈り込み品質を損ね、雑草を増やし、管理機械にも負担をかけることがある。
土の中では役に立つのに、プレー面では管理対象になる。この矛盾に対して、長く使われてきた対策の一つが砂の目土だった。
ところが2025年に公表された3年間の試験では、年間の砂量を途中で4倍に増やしても、ミミズの糞塚を減らす効果は確認できなかった。
なぜ「砂をまけば減る」と考えられてきたのか
研究者らが整理した背景には、砂質の土壌ではミミズの活動が少ないという認識と、現場で砂の目土が糞塚対策として使われてきた経験則があった。
ただ、実際にどこまで効くのかを長期間追ったデータは乏しく、過去の結果も一貫していなかった。
そこで米ペンシルベニア州立大学の研究施設で、2018年から2020年まで3年間の実地試験が行われた。
対象は刈高1cmのクリーピングベントグラスの研究フェアウェイ。土壌は砂44%、シルト34%、粘土22%のシルトロームだった。5m×11mの試験地を1m×1mの小区画に分け、毎年採取した成体150〜200個体を調べたところ、すべてAporrectodea longaという種類だった。
つまり、複数のミミズ種が混在するゴルフ場全体を調べた研究ではなく、特定の場所と優占種に絞った試験だ。
2018・2019年は年4回、2020年は年間量を4倍へ
2018年と2019年は、砂を年4回に分けて散布した。
年間の砂量は中量区で1.25cm、高量区で2.5cm。2020年にはこれをそれぞれ5cm、10cmへ増やした。前年までの年間量の4倍である。
砂は98.9%が砂分で、粒は丸みのあるものからやや角ばったものまでを含んでいた。
糞塚は春に出始めてから冬に止まるまで毎週数えた。計測24時間前には古い糞塚を除去し、年間では糞塚数の推移を面積として集計。さらに散布後7日、14日の短期変化も調べた。
「砂をまいた直後だけ見た」試験ではなく、3年間の季節変動まで追っている。
砂をまいた区の平均値はむしろ高かった。それでも「悪化した」とは言えない
結果は意外だった。
対照区と比べた年間の糞塚指標の平均は、2018年に中量区で13%、高量区で25%高かった。2019年は両方とも31%高く、2020年も中量区で19%、高量区で25%高かった。
しかし、この数字だけを見て「砂をまくとミミズの糞塚が増える」と結論することはできない。
3年間すべてで、処理間の差は統計的に有意ではなかった。年間解析はF2,15が1.76未満、p値は0.21を超えていた。
研究から言えるのは、砂が糞塚を増やしたことではない。
この試験条件では、年4回の目土を行い、最終年に年間量を4倍へ増やしても、糞塚を減らす効果を確認できなかったということだ。
別の研究では、茶種子ペレットで80〜95%減った
砂の試験とは別に、2009年にオンライン公表され2010年に掲載された研究では、まったく違う方法が試されている。
クリーピングベントグラスに茶種子ペレットを100㎡当たり2.93kg散布し、その後に散水する方法だ。茶由来のサポニンの作用でミミズを地表へ出す仕組みで、1回の処理後に糞塚は80〜95%減り、その効果は少なくとも5週間続いた。
ただし、これは砂の目土と同じ作用を比べた試験ではない。処理の仕組みも条件も異なるため、「砂がだめなら茶種子ペレットを使えばよい」という結論にはならない。
現在の日本で同じ資材を使えるか、どのような登録や流通状況なのかも、この調査では確認していない。製品推奨へは広げられない。
問題は「ミミズを悪者にすること」ではなく、プレー面の糞塚をどう管理するか
3年試験が示したのは、ミミズそのものの価値を否定する結果ではない。
土壌では通気、排水、有機物分解、養分循環に役立つ一方、フェアウェイ表面では糞塚がプレーと管理の品質を落とし得る。その両面が同時に存在する。
そして、経験的に使われてきた砂の目土も、この試験では糞塚抑制の効果を示せなかった。平均値が高かったからといって砂が悪化させたとも言えない。
さらに研究者ら自身が、1m×1mの小区画ではミミズが区画間を移動できることなどを限界として挙げている。単一地点、単一の優占種で得られた結果を、すべてのゴルフ場や日本のコースへそのまま当てはめることもできない。
それでも、3年間のデータが一つ明確にしたことはある。
「砂をまけばミミズの糞塚は減る」という現場の定番策は、少なくともこの条件では、年間量を4倍にしても確認できなかった。
土を良くする生物を一律に減らすのではなく、プレー面に出る糞塚をどう抑えるのか。ゴルフ場でのミミズ管理は、その二つを分けて考える必要がある。