手元に100グラム足しても平均277ヤード 40人のドライバー実験で見えた「速さ」と飛距離のズレ
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- 右打ち40人が総重量275・325・375グラムのドライバーを打つと、ヘッド速度は44.6→44.5→44.4m/sとわずかに低下した一方、平均総距離は3条件とも約277ヤードで有意差がなかった。
- 最重量条件では打出し角が11.4度へ上がったが、15人の再測定では「自分に合う重量」の再現性も低く、重い手元を万能な処方とは読めない。
- 重くなるほどわずかに低下し、この差は統計上も確認された(p=0.018)。
ドライバーを100グラム重くすれば、ヘッド速度が落ち、そのぶん飛距離も落ちそうに思える。ところが2020年に公表された40人の実験では、平均値はそれほど単純には動かなかった。
右打ちの参加者は40人。平均ハンデは7.5で、ヘッド速度は36〜54m/sの範囲だった。同じ10.5度のヘッドを使い、総重量275グラム、325グラム、375グラムの3本を比較した。重い2本は手元側へ50グラム、100グラムを追加して作られている。
100グラム重くしても、平均総距離は約277ヤードのまま
平均ヘッド速度は275グラムで44.6m/s、325グラムで44.5m/s、375グラムで44.4m/s。重くなるほどわずかに低下し、この差は統計上も確認された(p=0.018)。
それでも平均総距離は3条件とも約277ヤードで、有意差はなかった(F(2,78)=0.1、p=0.883)。
つまり、この40人の平均では「手元側を100グラム重くしたことで少し振れなくなった=そのまま距離が落ちた」とはならなかった。
最重量の375グラムでは、打出し角が11.4度へ上がった
速度以外の弾道条件も同じではなかった。打出し角は275グラムで10.8度、325グラムで10.6度、375グラムで11.4度。最重量条件で高くなり、差は有意だった(p=0.002)。
375グラム条件では、325グラム条件より動的ロフトも大きかった。研究では最重量条件でアタック角やインパクト時のロフトにも変化が見られている。
研究者は、こうした打出し条件の変化が、わずかなヘッド速度低下を距離面で相殺した可能性を示している。ただ、速度と打出し角の寄与を一つずつ独立させた実験ではない。確認できるのは「速度は少し落ちたが、同時に打出し条件も変わり、平均総距離には差が出なかった」というところまでだ。
「自分には375グラムが合う」とも簡単には言えなかった
平均値以上に重要なのが、個人ごとの再現性だ。
15人が別日に再測定したところ、3条件のうち「最もヘッド速度が出た重量」が前回と同じだったのは6人。「左右の方向誤差が最も小さかった重量」が一致したのは4人だけだった。
1回の計測で最速だった重量や、最も曲がらなかった重量が、次回もその人の最適条件になるとは限らなかったことになる。研究者も、この結果から重量だけを使った予測可能なフィッティング処方を作れるとはしていない。
実験は「自分のドライバーに100グラム足す」試験ではない
ここは実用上かなり重要だ。3本は同じヘッドを使い、シャフト重量と振動数も近づけていたが、実際には別々のシャフトを使っている。追加重量は手元から約10センチの位置に置かれ、総重量だけでなくクラブ全体の重心位置も大きく変わった。
ヘッドの重さ感を示すスイングウェイトも、275グラムのD0.4から、325グラムのC0.0、375グラムのA9.6へ変化している。参加者自身の普段のドライバーを重くした試験でもない。
したがって、「手元に100グラム足せば飛距離を落とさず安定する」「重いほど合う」といった処方にはできない。逆に「重くすると必ず飛ばなくなる」とも、この実験結果とは一致しない。
40人の平均で起きたのは、総重量を275グラムから375グラムへ変えるとヘッド速度はごく小さく低下した一方、打出し条件も変化し、総距離は約277ヤードのままだったという現象だ。そして個人単位では、その“最適重量”すら再測定で安定しなかった。
クラブ重量は、重い・軽いの一軸で答えが決まるものではない。少なくともこの実験は、平均飛距離だけを見て重量を決めることにも、1回の計測だけで個人の最適値を決めることにも慎重さが必要だと示している。
出典:mdpi.com