約70のバンカー、面積半減で整備時間もほぼ半分に 芝がないのになぜ高コストなのか
GOLF DNA編集部🇺🇸

3行まとめ
- バンカーは芝がないのに、USGAが面積当たりではコース内でも特に高コストになり得る施設要素と説明する。
- 理由は手レーキ、洗掘復旧、周囲の刈り込み、縁整備など、人手を使う仕事が重なるためだ。
- 約70個・約4エーカーあったバンカー面積を約半分にしたTotteridge Golf Clubでは、日常のレーキ作業が8〜10時間から4〜5時間、豪雨後の復旧が24〜40時間から12〜20時間へ減った。
バンカーには芝がない。それでも、管理の手間が軽いとは限らない。
2025年の全米ゴルフ協会(USGA)の解説では、バンカーは面積当たりで見ると、コース内でも特に高コストになり得る施設要素とされている。一部のコースでは、バンカーの手作業だけで週200〜450労働時間に達する例もある。
この200〜450時間は全米平均ではない。USGAが示した一部施設の重い作業負担の例だ。では、芝のない場所になぜそこまで人手がかかるのか。
砂をならすだけでは終わらない
USGAが挙げる主な作業は、表面の手レーキ、雨で砂が流れた場所の復旧、バンカー周囲の芝刈り、縁の整備だ。
通常時には砂面を整える仕事があり、強い雨の後には洗掘した場所の復旧が加わる。さらに、周囲の芝と輪郭を維持する作業も続く。バンカーは「砂が入った場所」をつくれば終わりではなく、プレーできる状態へ繰り返し戻す必要がある。
USGAは、底が平らで、斜面が浅く、排水が十分で、その場所に合った砂を使うバンカーは管理負担を下げやすいとしている。数だけでなく、形状や排水も日常の仕事量を左右する。
2017年に紹介されたRocky River Golf Clubでは、通常のバンカー作業に週約70〜80労働時間を使っていた。同クラブは、バンカーの撤去や縮小、斜面を緩くする変更、排水やライナーの改善によって、週30〜40労働時間を目標に負担を減らそうとしていた。
30〜40時間は完成後に確認された実績ではなく、改修中に掲げた目標だ。それでも、バンカー管理が「何個あるか」だけの問題ではないことは分かる。
約70個・約4エーカーを見直したコース
より具体的な前後比較があるのが、2020年にUSGAが紹介したTotteridge Golf Clubの事例だ。
同クラブには約70のバンカーがあり、合計面積は約4エーカー。20年以上使われる中で砂が汚染され、プレー性と排水に問題が出ていた。スタッフと予算が限られるなか、すべてを同じ形で直すのではなく、残すバンカーと減らすバンカーを選別した。
見直し候補には、利用が少ないものや、高ハンデのゴルファーを過度に罰しているものが含まれた。ティーに近いフェアウェイバンカーや、グリーン奥のバンカーも対象になった。
USGAの事例では、プレー性と景観を考慮しながら整理した結果、バンカー面積は約50%減った。
そして、作業時間もほぼ同じ方向へ動いた。
毎日のレーキは8〜10時間から4〜5時間へ
Totteridgeで通常のレーキ作業に必要だった時間は、1日8〜10労働時間。それが改修後には4〜5労働時間になった。
豪雨後の差も大きい。
ポンプ作業や、雨で崩れたバンカーの復旧に24〜40労働時間かかっていたものが、12〜20労働時間へ減った。
面積がおよそ半分になり、日常のレーキ作業も、豪雨後の復旧作業も、おおむね半分になった。これがTotteridgeという一つの施設で確認された変化だ。
ここから「バンカーを半分にすれば、どのコースでも人件費が半分になる」とは言えない。改修前の形状、排水、砂の状態、スタッフ体制はコースごとに違う。Totteridgeについても、年間の総維持費がいくら減ったかは公開されていない。
それでも、日常整備と豪雨後復旧の両方で、具体的な前後の作業時間が示されている点は大きい。
7万5000ドルは実績ではなく試算
USGAの資料には、砂に関する分かりやすい試算もある。
4エーカーのバンカーへ4インチの深さで砂を入れると約3000トン、1トン50ドルなら15万ドル。面積を約2エーカーへ減らせば、砂代は7万5000ドル少なくなるという計算だ。
ただし、これは条件を置いた説明用の試算で、Totteridgeが実際に7万5000ドルを節約したという会計実績ではない。
この事例でより確かな数字は作業時間だ。毎日のレーキは8〜10時間から4〜5時間へ、豪雨後の復旧は24〜40時間から12〜20時間へ減った。
減らすことは、難しさを消すことと同じではない
バンカーを減らすと、次に気になるのは戦略性や景観だ。
Totteridgeでは、低利用のバンカーや高ハンデ層を過度に罰するバンカーを選び、プレー性と景観を考慮しながら整理した。USGAは、改修後にゴルファーから好意的な反応があり、高ハンデ層にとってプレーが楽しみやすくなった一方、挑戦性と景観も保たれたと報告している。
ただし、これは独立した利用者調査ではなく、単一施設についての定性的な報告だ。
だから、この事例の答えは「バンカーは少ないほどいい」ではない。
バンカーが面積当たりで高コストになりやすいのは、手レーキ、洗掘復旧、周囲の刈り込み、縁整備といった人手が繰り返し必要になるからだ。そしてTotteridgeでは、約70個・約4エーカーあったバンカー面積を約半分にした結果、日常整備と豪雨後復旧の作業時間もほぼ半分になった。
バンカーはコースの難しさや景観をつくる装置であると同時に、毎日、人手を使い続ける運営設備でもある。残す価値と維持負担を同じ土俵で見直すと、削るべきなのは「バンカーの数」ではなく、役割に対して維持負担が大きすぎるバンカーだ。