「15本あります」――全英最終日、バーディー直後に2打を失った男
GOLF DNA編集部🇬🇧

3行まとめ
- 2001年全英オープン最終日、イアン・ウーズナムは1番でバーディーを奪った直後、バッグの15本目に気づき2打罰。
- 余分だったのは練習場で使った2本目のドライバーで、最終的には優勝者デビッド・デュバルに4打差の3位タイだった。
- 18年後、同じロイヤル・リザムの1番で14本を数える“再演”まで生まれた。
2001年7月22日、全英オープン最終日。ロイヤル・リザム&セントアンズの1番はパー3だった。
イアン・ウーズナムのティーショットはカップまで約6インチ。ほとんどOKの距離につけ、バーディーで最高のスタートを切った。
ところが、その直後。2番ティーへ向かう途中で、スコアカードにはまだ見えていなかった「2打」が突然加わる。
原因は、バッグの中だった。
最高の1番、その直後に「15本ある」
ウーズナムのキャディー、マイルズ・バーンが気づいた。バッグに入っているクラブは14本ではなく15本。全英オープンを運営するR&Aの規則では、クラブは最大14本だった。
ウーズナムはすでに1番をプレーしていたため、2打罰。せっかくのバーディーは、スコア上ではその2打を上乗せされることになった。
しかも15本目は、特別な秘密兵器ではない。
最終日前の練習場で使っていた、もう1本のドライバーだった。試したクラブが、そのままバッグに残っていたのである。
メジャー最終日の優勝争いで起きたのは、スイングのミスでも読み違いでもない。「バッグから1本出し忘れた」という、あまりにも日常的な確認漏れだった。
使っていなくても、入っているだけで違反
この話が怖いのは、余分なドライバーでショットしたから罰を受けたわけではないことだ。
クラブ本数の上限は「使った本数」ではなく「持っている本数」で決まる。
現在のR&A規則4.1bでも、ラウンド開始時に15本以上を持つことは禁止されている。ストロークプレーでは違反したホールごとに2打罰、最大4打。違反に気づいたら、余分なクラブをプレーから外さなければならない。
つまり、2001年だけの古い珍ルールではない。今でも同じ確認漏れは、そのままスコアになる。
「あの2打がなければ優勝」は、数字上も単純ではない
この事件はしばしば「2打罰で全英を失った話」として語られる。
ただし、結果は少し冷静に見る必要がある。
優勝したデビッド・デュバルは通算274。ウーズナムは最終日71、通算278で3位タイだった。最終的な差は4打である。
単純に罰の2打だけを引いても276。優勝スコアには2打届かない。
もちろん、1番直後に突然2打を失えば、その後の判断や心理が変わる可能性はある。実際にウーズナムは強いショックを受けたと振り返っている。ただ、「罰がなければ優勝していた」とまでは言えない。
むしろ面白いのは、優勝争いの流れを壊したものが高度な技術ではなく、スタート前に数えれば防げるミスだったことだ。
18年後、同じ1番で14本を数えた
物語には、妙にきれいな後日談がある。
2019年、ロイヤル・リザムでSenior Openが開催された。ウーズナムも出場し、1番ティーへ入ると、キャディーに向けてクラブを一本ずつ数えた。
14本。
会場の公式史にも残る、18年前の事件を自分で笑いに変えた場面だった。
ゴルフでは、1打を縮めるために何時間も練習する。それでもメジャーの最終日を揺らしたのは、たった数秒で終わるはずの確認だった。
スタート前にボール、ティー、距離計を確認するなら、最後にもうひとつ。
クラブも数えておいた方がいい。
出典:The Open / theguardian.com / irishtimes.com / royallytham.org / The R&A
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