ゴルフ百科事典

湿地を再生すると、水はけを良くするゴルフ場の排水設計と矛盾しない?

排水・湿地

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まず答え

矛盾しません。プレー面では余分な水を速やかに逃がし、湿地や調整区域では水を一時的に受け止めてゆっくり流す、という役割分担ができます。重要なのは、湿地そのものを排水して乾かすのではなく、流す場所とためる場所を分けることです。

詳しい解説

ゴルフ場の排水設計は「敷地の水をすべて最短で外へ出す」ことではありません。グリーンやフェアウェイなどプレー面では過湿を避けるために余分な水を逃がす必要がありますが、その水を下流へ一気に流せば、洪水や侵食、水質悪化を招くことがあります。

プレー区域の余分な水を導くことと、湿地の水をすべて抜くことは別です。流域の中で集水、貯留、水質調整を組み合わせ、既存湿地の水位・流入量・水質・生態系や必要な許認可を確認します。図の順序や設備をすべての施設へ一律に指定するものではありません。

EPAは、湿地には雨水や洪水を吸収・貯留し、流出のピークを緩和する働きがあると説明しています。つまり湿地は、排水の邪魔になる場所ではなく、流れてきた水を一時的に受け止める場所として機能できます。

USGAの事例でも、ゴルフ場内にバイオスウェイルや調整池などを組み合わせた自然型の雨水管理を導入し、コース内の冠水と下流の洪水リスクを減らした例があります。またUSGAは、既存の湿地を自然区域として扱い、その水文条件を守ることを推奨しています。

そのため設計では、プレー面の表面水や地下水を排水溝・暗渠などで安全な方向へ導き、その先に湿地、調整池、植生帯などの受け皿を置く方法があります。ここでは排水と保水が同じ場所で同時に起きるのではなく、場所ごとに役割を分けています。

ただし、湿地へ大量の水を集中させればよいわけではありません。既存湿地の水位、流入量、水質、生態系、法規制を確認し、自然の水文条件を壊さない設計が必要です。プレー面を乾かすことと湿地を守ることは、流域全体で水の動きを設計すれば両立できます。