禁止物質が 治療に 必要なら、 TUEを 申請すれば 必ず 使える?
アンチ・ドーピング/TUE
まず答え
いいえ。TUE(治療使用特例)は、申請すれば自動的に認められる制度ではありません。診断された病気の治療に必要で、認められた代替治療がなく、健康な状態を超える大きな競技力向上を生まないなど、WADAが定める条件をすべて満たす必要があります。
詳しい解説
TUE(治療使用特例)は、病気やけがの治療でWADAの禁止表に載る物質・方法が必要な競技者に、一定条件のもとでその治療を認める仕組みです。ただし「医師から処方された」「治療に必要」という理由だけで自動的に許可されるわけではありません。
WADAの国際基準では、TUEの承認には主に4条件をすべて満たす必要があります。①明確に診断された病気があり、その禁止物質・方法を使う治療が必要であること、②治療によって通常の健康状態を超える大きな競技力向上が見込まれないこと、③合理的に使える許可された代替治療がないこと、④TUEなしで以前に禁止物質・方法を使ったことが、今回その治療を必要とする原因ではないことです。
IGF管轄の国際レベル選手は、現在はIGFからTUE手続きを委託されたITA(International Testing Agency)へ原則として事前申請します。国際レベルに該当しない選手は通常は各国のアンチ・ドーピング機関(NADO)へ申請します。NADOから取得済みの有効なTUEは、所定の条件に従ってITAのTUE委員会が国際競技用に承認します。適用される競技団体や大会によって申請先・承認手続きが異なるため、自分の立場を確認する必要があります。
申請中だから使ってよい、という扱いでもありません。IGFの現行方針は、TUEの付与や承認が決まる前に禁止物質・方法を使うことは競技者自身のリスクになると明記しています。競技中だけ禁止される物質については、例外に当たらない限り、IGFの案内では次の競技の少なくとも30日前を目安に申請するよう求めています。
したがって、治療で禁止物質が必要になったときは、自己判断で服用を続けたり中止したりせず、まず現行の禁止表を確認し、自分がどの機関へTUEを申請する立場かを確認することが重要です。緊急時などには遡及的TUEが認められる例外もありますが、通常申請とは別条件です。