歴史的クラブハウスの 後年の 増築部分は、 保存修復で 取り除くべき?
ゴルフ保存建築・歴史的コース保全
まず答え
一律に取り除くべきではありません。後年の増築自体が歴史的価値を持つ場合は残す考え方があります。一方、特定の時代の姿へ復元する方針を明確に採る場合は、その時代より後の部分を撤去することもあります。まず建物のどの時代を保存対象にするかを決めます。
詳しい解説
歴史的なクラブハウスは、建設後に食堂、ロッカー、テラス、事務室などを増築しながら使われてきたことがあります。そのため保存修復では、『最初に建てた形以外は全部取り除く』とは限りません。
米国国立公園局(NPS)の歴史的建造物の保存基準では、建物は時間の積み重なりを示す記録として扱われます。後年の変更や増築でも、それ自体が歴史的な意味を持つようになったものは保存する、という考え方が示されています。たとえば長く使われ、クラブの重要な時代や出来事と結び付いた増築なら、単に『後から付けた』という理由だけで撤去対象にはなりません。
一方、NPSが定義する『復元』は、建物を特定の時代の姿へ正確に戻す処置です。この方法を選ぶ場合、その復元対象時期より後に加えられた部分を選択的に取り除くことがあります。ただし、どの時代へ戻すのかを先に定め、十分な図面、写真、現物資料などに基づいて判断します。
現在もクラブハウスとして使い続ける場合は、『保存』や『改修を伴う保存』の考え方が合うこともあります。NPSのRehabilitation基準では、歴史的特徴を守りながら現代の利用に必要な変更・増築を認めています。新しい部分は古い部分と見分けられ、規模や材料が歴史的建物と調和し、将来取り外しても元の建物の重要部分を傷めにくいことが求められます。
したがって判断では、①増築した年代、②その部分自体の歴史的価値、③保存したい基準時期、④現在の利用に必要か、⑤撤去で元の材料を傷めないか、を確認します。
歴史的クラブハウスの保存は『古いものほど正しく、新しいものほど不要』という単純な考え方ではありません。建物がどのように使われ、変化してきたか自体を歴史として残す場合もあれば、特定の時代へ戻すために後年部分を外す場合もあります。保存方針を先に決めてから増築部分を評価します。