ゴルフ練習で いう 「誤差駆動学習」とは?
運動学習・誤差学習
まず答え
誤差駆動学習は、「予測した結果」と「実際に返ってきた感覚・結果」のずれを手掛かりに、次の動きを調整していく学習です。ただし、すべてのミスが同じように学習を生むわけではなく、感覚の予測誤差と、成功・失敗という結果の誤差は分けて考える必要があります。
詳しい解説
誤差駆動学習では、脳が『この動きをすれば、こう見える・こう感じるはず』と予測した結果と、実際に返ってきた感覚情報のずれを使って次の運動を修正します。視覚運動適応の研究では、手を動かした方向と画面上のカーソルの動きをずらすと、最初は誤差が大きくても、試行を重ねるにつれて運動がそのずれへ適応していきます。
ここで重要なのは、誤差には複数の種類があることです。IzawaとShadmehrは、感覚上の予測誤差と、目標に当たった・外れたという報酬の誤差を分けて調べました。高品質な感覚フィードバックがある条件では感覚予測誤差が運動適応を強く導き、報酬だけの条件では別の学習過程が働くことを示しました。つまり『ミスしたから自動的に正しい動きが学習される』という単純な仕組みではありません。
さらに、フィードバックが遅れると視覚運動適応が弱くなる研究があります。Kitazawaらの流れを受けた研究では、感覚結果が遅れて返ると適応量が小さくなりますが、その遅延に慣れると一部が回復しました。誤差情報は、内容だけでなく、いつ返ってくるかも学習に影響します。
ゴルフで考えるなら、打った直後の打点、出球方向、球筋、距離などは誤差情報になり得ます。ただし、ボールが右へ出たという結果だけから『腰が止まった』など身体原因を一つに決めることはできません。結果の誤差は、何が起きたかを示しても、その原因を一意に教えるとは限らないからです。
実用上は、①何を狙ったかを先に決める、②実際の結果との差を確認する、③一度に一つだけ変更する、④次の球で誤差が同じ方向に減るかを見る、という使い方が安全です。誤差駆動学習は『ミスをたくさん出せば上達する』という意味ではなく、予測と結果のずれを、原因を決めつけず次の試行へ使う考え方です。