欧州・オセアニア・北米4172コースへ送った調査 最多のマナー違反は「スロープレー」だった
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- 2006〜2008年、欧州・オセアニア・北米の計4172コースに支配人向け質問票が郵送された。
- 集まったマナー違反の記述305件で最多はスロープレー。
- 回答コース数は抄録に示されず、現在の頻度調査ではない。
「今日は前の組が遅かった」。ゴルファーなら一度は口にしたことがある話だろう。
では、スロープレーへの不満は日本特有なのか。約20年前の国際調査を見ると、少なくともゴルフ場を運営する側の悩みとしては、そうではなかった。
4172コースへ送った質問票、最多はスロープレー
神奈川体育・スポーツ・健康学会の研究資料「ゴルフ場で見られるマナー違反の国際調査」は、2006年8月から2008年10月にかけて、ゴルフ場支配人を対象に質問票を郵送した。
送付先は欧州779コース、オセアニア1108コース、北米2285コース。合計すると4172コースになる。
研究の抄録で報告されたマナー違反の記述は305件。その中で最も多かったのが「スロープレー」だった。
ここで数字の読み方には注意がいる。4172は質問票の送付先で、回答したコース数ではない。抄録には回答数や回答率が示されていない。また、305も「305コースで違反があった」という意味ではなく、支配人から挙げられた違反記述の総数だ。
それでも面白いのは、欧州・オセアニア・北米をまたいだ調査で、運営側が挙げた問題のトップにスロープレーが出てきたことだ。「遅い組に困る」という感覚は、少なくとも当時から日本だけのローカルな愚痴ではなかった。
約20年前の調査だから、現在のランキングではない
この調査期間は2006〜2008年で、論文の巻号は2010年。したがって、2026年現在もスロープレーが世界で最も多いマナー違反だ、とまでは言えない。
研究者自身も、データはゴルフ場支配人から得たものであり、利用者やキャディー側の意見を加えた検討が必要だとしている。つまり、これは「世界中のゴルファーを代表する意識調査」ではなく、ゴルフ場を回す側から見えた問題の記録だ。
ただ、20年近くたった現在のルールを見ると、プレー速度は今も単なる好みではなく、ゴルフの運営上のテーマとして明確に扱われている。
現行規則は「1打40秒以内」を目安にしている
R&Aの現行規則5.6bは、ラウンドは迅速なペースでプレーするものだと明記している。
自分の番になり、妨げなく打てる状態になってからは、1打を40秒以内で行うことを推奨し、通常はそれより速くプレーできるはずだとしている。
さらに重要なのは、ルールが「一打の秒数」だけを見ていないことだ。次のショットを事前に準備すること、ショット間の移動、ホールアウト後に次のティーへ移る時間まで、ラウンド全体の流れを対象にしている。
ストロークプレーでは、順番にこだわらず、安全かつ責任ある形で準備できた人から打つ、いわゆるレディーゴルフも認められている。
つまり「40秒以内なら何をしてもいい」という話ではない。待っている時間に距離やクラブを考え、打てる人が打ち、終わったら動く。ルールが求めているのは、一発だけを急ぐことより、止まっている時間を減らす進行だ。
スロープレーは「自分の時間」だけの問題ではない
規則5.6bが興味深いのは、自分のプレー速度が同伴者だけでなく、後続組のラウンド時間にも影響すると説明している点だ。
一人が少し長くかかるだけなら小さな差でも、それが4人、18ホール、さらに前後の組へ重なると、コース全体の進行問題になる。
約20年前の国際調査で、支配人が最も多く挙げたマナー違反がスロープレーだった理由も、そこにあるのだろう。これは研究結果からの推測だが、少なくともゴルフ場側にとって、プレー速度は個人の作法ではなく運営に波及する問題として見えていた。
古い調査なので、現在の世界ランキングを示す材料ではない。それでも、地域をまたいだ調査でスロープレーが最多だった事実と、現行規則が今も40秒の目安やレディーゴルフまで示していることを並べると、一つだけははっきりする。
スロープレーは、日本だけの細かなマナー論ではない。ゴルフというゲームが、同じコースと時間を複数の組で共有する以上、ずっと付きまとう共通の課題なのである。
出典:jstage.jst.go.jp / The R&A
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