ドライバーの打音は耳を傷めるのか
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- ドライバーの打音は一部の旧クラブで120dBA超が測られたが、2014年の実耳測定は平均的な男性アマチュアの即時リスクを低いと評価した。
- 2008年の難聴症例から2026年まで、何が分かり、現行クラブや屋内打席で何がまだ分からないのかを追う。
- 最初の警告は、55歳の男性ゴルファーの症例だった。
ドライバーを打った瞬間の「カーン」という音は、気持ちよさの一部でもある。
ところが2008年、英国の医学誌に「ゴルフは聴覚に悪いのか」という症例報告が載った。きっかけは、ドライバーを繰り返し打っていた男性の右耳に、耳鳴りと感音性難聴が見つかったことだった。
さらに当時のクラブを測ると、一部では120dBAを超えるピーク音が出た。
では、ドライバーの打音は本当に耳を傷めるのか。
2026年までの材料をつなぐと、答えは「大きな衝撃音が出るクラブは実在し、反復曝露には注意すべき根拠がある。ただし、一般的なゴルファーが普通に打つだけで直ちに難聴になる、とまでは言えない」になる。
そして現在の最大の空白は、現行ドライバーと屋内練習環境を人の耳で測り直したデータがほとんど見当たらないことだ。
2008年、難聴の男性が使っていたのはチタンドライバーだった
最初の警告は、55歳の男性ゴルファーの症例だった。
男性はキングコブラLDのチタンドライバーを週3回、18か月使用していた。右耳には耳鳴りがあり、聴力検査では4〜6キロヘルツに騒音性障害を思わせる落ち込みが見つかった。内耳道のMRIは正常で、報告上は他の明確な長期騒音曝露や耳に有害な薬剤への曝露も確認されなかった。
著者らはドライバーの打音を原因として推定した。
ただし、これは1人の症例だ。クラブ音が原因である可能性を強く疑わせる材料ではあっても、ドライバーを使う人全体の発症率や危険度を証明する研究ではない。
同じ報告では、プロ1人が12本のドライバーを各3球打ち、打音も測っている。薄肉のチタンドライバーは厚肉のステンレス製より高いピーク音を示し、多くの薄肉チタン製で120dBAを超えた。
ここで「120dBA」という強烈な数字が独り歩きしやすい。
だが、この測定も12本を各3球という小規模なものだ。2008年の市場にあった一部クラブの警告としては重要でも、すべてのドライバー、まして2026年のクラブへそのまま当てはめることはできない。
2014年、今度は耳の中で音を測った
6年後、研究は一段進んだ。
2014年の研究では、19〜54歳の男性アマチュア19人が3種類のドライバーを無作為の順番で各6球打った。場所は屋外の練習場。左右の耳道へ約25ミリ差し込んだ小型の測定器で、実際に耳へ入る音を同時に記録した。
結果はクラブによって大きく違った。
最も大きかったクラブ1では、耳内の平均値が片側100.3dBA、反対側98.2dBAで、最大123dBAを記録した。一方、クラブ2の平均は85.7dBAと82.8dBA、クラブ3は87.0dBAと84.8dBAだった。
つまり「ドライバー」という一括りでは語れない。少なくともこの3本では、同じ人が打っても耳へ届く音にかなり差があった。
研究者の結論も、2008年の症例だけから想像するほど単純ではなかった。
測定した3本について、男性アマチュアが受ける即時の騒音性難聴リスクは全体として低いと評価した。一方で、116dBAを超える高強度の音を出すクラブを頻繁に使う場合は、潜在的なリスクになり得るとした。
「116dBA」は一球で危険という線ではない
ここは数字の読み方が重要になる。
2014年研究の116dBAは、「これを超えた一球で耳が傷む」という医学的な境界線ではない。
研究では、米国立労働安全衛生研究所の職業性騒音基準を使って理論上の曝露量を計算した。85dBAを8時間とし、3dB上がるごとに許容時間を半分にする考え方だ。1打の音を約0.5秒、40球なら合計20秒として換算した。
この計算では、40球すべてが116dBAなら理論上の日量100%に相当する。一方、クラブ1の平均約99dBAなら100%相当まで約2200球という試算になり、実際の40球相当は0.05〜1.8%だった。
だから「116dBAを超えたら1球で危険」でも、「2200球まで安全」でもない。
そもそも使われた基準は仕事中の騒音管理のためのもので、一般のゴルファーの安全球数を決める基準ではない。研究者自身も、その換算を使いながら限定的な条件でリスクを見積もっている。
出典:bmj.com / bmjopen.bmj.com / pubmed.ncbi.nlm.nih.gov / cdc.gov(2・3・4) / Callaway 技術・研究情報
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