元ごみ埋立地に公共ゴルフ場 Ferry Pointは「地下」から何を作り替えたのか
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- ニューヨーク市のFerry Pointは旧市営埋立地から公共コースへ。
- 1999年には過剰なメタンが見つかり、造成では地下鉄工事で出た片岩を再利用。
- ガスを逃がす溝や監視井戸まで組み込まれ、2015年に市で50年以上ぶりの新しい公共コースとして正式開場した。
1999年、Ferry Pointの旧ニューヨーク市一般廃棄物埋立地では、過剰なメタンガスが見つかっていた。
その後、2015年に同じ場所で新しい公共ゴルフ場が正式開場した。
ゴルフ場の再開発というと芝、バンカー、池の配置に目が向きやすい。Ferry Pointで先に問題になったのは、地面の下だった。
造成の前に、メタン対策があった
ニューヨーク市会計監査官の2007年監査によると、旧埋立地では1999年に過剰なメタンが検出された。市側は対策費として最大860万ドルを認可し、2006年9月までに724万ドルを事業者へ払い戻していた。
コース造成の資本改善工事が始まったのは2000年8月。監査資料では、盛土を運び込んで地形をつくる作業から始まったと記録されている。
ここでは芝を張ればゴルフ場になるわけではなかった。旧埋立地として残る地下の問題を扱い、その上でコースの地形をつくる必要があった。
約78haの造成に、地下鉄工事の岩を使った
2013年10月、Nicklaus Designは最後のホール完成を発表した。当時の記事でコース部分は約78ha(原資料では192エーカー)とされている。
地形づくりに主に使われたのは、セカンド・アベニュー地下鉄とイースト・サイド・アクセスの掘削で出た片岩だった。都市の別の大型工事から出た岩を、旧埋立地のゴルフ場造成へ回している。
排水にも仕組みが組み込まれた。Nicklaus Designは、排水区域からの水をコースへ戻し、ラフには在来の耐乾性フェスクを植えたと説明している。同社は全体の水使用量を平均的なコースの約4分の1に抑える設計とも述べた。
ただし、この「約4分の1」は設計会社側の説明で、比較したコースや測定期間、独立した検証方法は今回確認した資料では分からない。実測成果としてではなく、当時の設計側の説明として読む必要がある。
埋立地ガスは、地下設備でも扱った
2013年の完成発表には、地中のガスを逃がすため敷地の周囲に通気溝を設け、地下状態を定期確認する監視井戸も設けたとある。
完成した景観だけを見ると新しいゴルフ場だが、少なくとも2013年の発表時点では、旧埋立地を前提にした設備まで設計に組み込まれていた。
2015年、50年以上ぶりの新しい公共コースに
Ferry Pointは2015年5月26日に正式開場した。Nicklaus Designの当時の発表では、ニューヨーク市で50年以上ぶりに開いた新しい公共コースで、市の14番目の公共コース、1964年以来の新設だったとされている。
ここまでの経緯を見ると、ゴルフ場は単なる「緑の土地」ではない。Ferry Pointでは、メタン対策、盛土、再利用した岩、排水、耐乾性の芝、ガスを逃がす設備、地下監視という層の上に18ホールがつくられた。
旧埋立地をゴルフ場へ変えたこと自体を成功物語にするだけでは、地下で何が必要だったかが抜け落ちる。Ferry Pointの経緯から見えるのは、ゴルフ場の設計が地表の18ホールだけで終わらず、ときには地面の下から始まるということだ。
出典:comptroller.nyc.gov / nicklausdesign.com(2)
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