発売前は適合、ナイキの四角ドライバーが交換へ 量産ばらつきで基準外、飛距離差は推定1〜2ヤード
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- 2007年、発売前には適合確認を通っていたナイキの四角いドライバーで、市販品の一部が反発性能の基準外と判明した。
- 設計承認と量産品質が別物だった騒動を、無償交換、日本版の扱い、全数検査まで追う。
- ナイキの発表では、2007年2月下旬、米国ゴルフ協会から市場に出た製品の反発性能について連絡を受けた。
2007年、ナイキの四角いドライバーが発売直後に思わぬ問題へ直面した。
対象になったのは「サスクワッチ・スモー・スクエア(SasQuatch SUMO²)」の一部。奇妙なのは、最初から規則違反の設計だったわけではないことだ。ナイキによれば、製造開始前に提出した製品は2006年10月に米国ゴルフ協会の適合確認を受けていた。
それでも市販後、一部の製品は反発性能の基準を外れた。
原因としてナイキが説明したのは、初期量産で起きた「製造工程上のばらつき」だった。つまりこの騒動が示したのは、クラブの適合は設計図だけでは決まらないということだ。量産された一本一本が、承認された仕様の範囲に収まっている必要がある。
発売前は適合、それでも市販品の一部が基準外になった
ナイキの発表では、2007年2月下旬、米国ゴルフ協会から市場に出た製品の反発性能について連絡を受けた。社内調査の結果、初期量産で承認仕様から外れる製造上のばらつきがあったとした。
問題になったのは、フェースの「スプリング効果」だ。
現在のR&Aの説明では、ドライバーヘッドの反発性能は振り子型の装置を使い、フェースと装置が接触している時間をマイクロ秒単位で測る。この値が「特性時間」と呼ばれる。現行基準では239マイクロ秒に18マイクロ秒の許容差を加えた範囲を超えると不適合になる。
2007年のナイキ発表も、この特性時間を使ってフェースの反発性能を確認していたと説明している。
重要なのは、承認された設計そのものが後から違反になったわけではないことだ。ナイキは、市販された一部の個体が製造ばらつきによって承認仕様と適合範囲から外れた可能性がある、と説明した。
ただし、どの工程、寸法、材料条件が具体的にずれたのかは公表していない。
「飛びすぎ」はメーカー推定で1〜2ヤード
この騒動で目を引くのが、基準外の個体による飛距離差だ。
ナイキは追加される飛距離を1〜2ヤード程度と推定した。何十ヤードも飛ぶようになったわけではない。しかも、この1〜2ヤードは第三者が実戦で検証した数字ではなく、メーカー自身の推定値だ。
それでも競技用具では、わずかな差でも適合範囲を超えれば別問題になる。
ナイキは2007年3月26日から4月30日まで無償交換制度を実施すると発表した。所有者がウェブや電話で申し込むと、適合確認済みの交換品と返送用の送料支払済み箱が送られ、旧品を返す仕組みだった。交換品には適合確認済みと識別できる印も付けられた。
一方、今回確認したナイキと日本ゴルフ協会の一次資料では、実際に何本が基準外だったのか、最終的に何本が交換されたのか、対応にいくらかかったのかという数字までは確認できない。
日本で売られたモデルは交換対象ではなかった
日本では事情が違った。
日本ゴルフ協会は2007年3月28日、米国、カナダ、欧州で販売された「バージョン1」の一部に反発性能の基準を超える製品があり、交換対象になったと説明した。
これに対し、日本国内で販売された製品は「バージョン2」で、今回の交換制度とは無関係とされた。日本版は適合ドライバーヘッドリストへの掲載も継続された。
ここで「バージョン2は何を変えたから大丈夫だったのか」と考えたくなるが、確認した日本ゴルフ協会の告知には、バージョン1と2の具体的な設計・製造差までは書かれていない。
分かるのは、日本国内販売品は問題となった交換制度の対象外で、適合扱いが続いたというところまでだ。
ナイキが変えたのは検査のやり方だった
騒動後、ナイキが明示した再発防止策はかなり直接的だった。
海外の生産工場で全数検査を行い、さらに米テネシー州メンフィスの流通拠点でも全数検査を行う。出荷前と流通段階で二重に確認する体制へ変えたと発表した。
ここに、この事件の核心がある。
用具規則では「この設計なら適合する」だけでは足りない。実際に大量生産された製品が、承認された性能範囲から外れていないことまで管理しなければならない。
翌2008年1月、ナイキは次世代の四角形ドライバー「SQ SUMO² 5900」を発表した。ただし、一次資料はこの新製品を2007年の交換制度の直接的な結果とは説明していないため、両者を因果で結ぶことはできない。
出典:investors.nike.com(2) / JGA / The R&A
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