親になっても出場資格の時計は止まる
GOLF DNA編集部🇺🇸

3行まとめ
- 出産や育児で競技を離れても、獲得済みの資格がすぐ消えるわけではない。
- 米女子ツアーは復帰時の資格順位を、全米ゴルフ協会は選手権の出場枠を別の仕組みで保護する。
- 2019年から2026年までの制度を比べると、「時間を止める」対象の違いが見えてくる。
一度勝ち取った出場資格は、親になるため競技を離れたらどうなるのか。
2026年時点の制度を見ると、米女子ツアーと全米ゴルフ協会(USGA)は、どちらも休止によって資格が失われないための仕組みを持っている。ただし、守っているものは同じではない。
米女子ツアーは「復帰後の資格順位」を守る
米女子プロゴルフ協会(LPGA)は2019年にマタニティ制度を改定した。2026年の公式資料では、出産から最大2年以内に復帰でき、復帰時にはマタニティシーズンへ入る前と同じ資格順位を保持できる。
しかも、復帰した瞬間だけ順位を戻して終わりではない。復帰後は12か月、またはそれに相当する大会数を、その資格で競技できる仕組みになっている。
ここで守られているのは、特定の1大会の出場枠だけではない。ツアーへ戻った後、どの資格順位で競技を再開するかという部分だ。
メジャーの免除は別の仕組み
もう一つ分けて考える必要がある。
2026年のLPGA公式資料では、5つのメジャーすべてに、前年に出場資格を得ながらツアー承認のマタニティ休暇によって出場できなかった選手向けの免除規定がある。
これは、LPGA本体の資格順位を守る制度とは別だ。
つまり「ツアーへどの順位で戻れるか」と、「前年に得たメジャーの出場資格を翌年に使えるか」は、同じマタニティ保護でも別々に設計されている。
USGAが守るのは「選手権へ出る権利」
全米ゴルフ協会は2020年、家族ポリシーを更新した。
こちらは予選や免除によって獲得したUSGA選手権の出場枠を、出産や育児などを理由に原則1年延期できる。例外的には、さらに1年延長できる。
対象は母親だけではなく父親も含む。USGAは代理出産や養子縁組も制度の範囲に含めている。
米女子ツアーで今回確認できたのがマタニティ制度なのに対し、USGAは母親・父親を対象にした家族ポリシーとして設計している。この違いも大きい。
「ランキング凍結」は世界ランキングを止める制度ではない
USGAには、マタニティによる離脱時にランキングを凍結する仕組みもある。
ただし、世界ランキングそのものの順位変動を止めるわけではない。
最後に出場した時点の対象ランキングを保存し、その順位をUSGA選手権の免除カテゴリーに該当するかどうかの判定に使う。対象には女子世界ランキング、男子世界ランキング、世界アマチュアランキングなどが含まれる。
利用期間は原則1年で、例外的に追加1年。1回のマタニティにつき最大2年まで使える。
つまりUSGAが止めるのは「世界ランキングの時計」ではなく、「USGA選手権の免除資格を判定するときに参照する時計」だ。
2026年も制度は実際に使われている
制度が古い発表のまま残っているだけではない。
2026年の全米女子ミッドアマの公式出場者一覧では、1選手が家族ポリシーによる延期免除として記載されている。男子の全米ミッドアマでも、2選手が同じ家族ポリシーによる延期免除として掲載されている。
米女子ツアー側も、2026年の公式資料で2019年改定のマタニティ制度と5大メジャーの免除を現行制度として案内している。
2019年に米女子ツアーが資格順位を守る仕組みを改定し、2020年にUSGAが選手権出場の延期と免除判定の仕組みを整え、2026年にも両方の運用が確認できる。
同じ「親になる時間を守る制度」でも、止める時計は違う。
米女子ツアーは復帰後の資格順位と競技機会を守る。メジャーは獲得済みの出場資格を別の免除で扱う。USGAは特定選手権への出場延期と、免除判定に使うランキング基準を扱う。
「出場権が守られる」という一言の中に、実際にはこの3つの別々の仕組みがある。
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