2罰打の10日後にキャディー規則を明確化
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- 2019年、李昊桐は最終18番のキャディー位置で2罰打を受け、3位タイから12位タイへ下がった。
- 判定は当時の規則文言上は正しかったが、ツアー側は「不公平」と異議を表明。
- 別大会でも混乱が続き、10日後に規則当局が運用を即時明確化した。
2019年1月27日、ドバイで行われた欧州男子ツアーの最終18番。李昊桐はプレーを終えたあと、キャディーが球の後方線上にいたとして2罰打を受けた。
その2打で、順位は3位タイから12位タイへ下がった。
ややこしいのは、ツアー側も「規則文言に照らせば判定は正しい」と認めていたことだ。それでも翌日、当時の欧州ツアー最高責任者キース・ペリーは、李に方向合わせの利益を得る意図も実際の利益もなかったとして、結果を不公平だと批判した。
問題は誤審ではなく、施行されたばかりの規則を現場でどう運用するかにあった。
その年から、キャディーは後方に立てなくなった
2019年1月1日に施行された規則10.2b(4)は、プレーヤーがストロークのためにスタンスを取り始めてから打つまで、キャディーが球の後方のプレー線上、またはその近くに故意に立つことを禁じた。
狙いは明確だった。方向合わせはプレーヤー自身が行う技能であり、キャディーが後ろから体の向きを確認する形を防ぐことだった。
施行時の文言では、いったんスタンスを取り始めると、その後にスタンスを解いても原則として罰を避けられない扱いだった。パッティンググリーン上には例外があったが、それ以外では運用の余地が狭かった。
李の18番では、この厳格な文言がそのまま適用された。
「正しい判定」なのに、なぜ揉めたのか
欧州ツアーが異議を唱えたのは、規則の目的と実際の行為が噛み合っていないと見たからだ。
李のケースについて、ツアーはキャディーが方向合わせを助けようとしたわけではなく、李も利益を得ていないと説明した。それでも当時の文言では、現場の裁量で罰を外す余地がなかった。
しかも混乱は李だけで終わらなかった。
2月2日、米男子ツアーではデニー・マッカーシーに同じ規則で科された2罰打が取り消された。ジャスティン・トーマスの類似事例も罰なしとなり、ツアーと規則当局は実戦で規則適用に大きな混乱が生じていることを認め、追加の明確化を予告した。
つまり、李の一件だけで規則が動いたわけではない。複数ツアーの実戦で、同じ文言をどう読むかが問題になっていた。
10日後、二つのポイントが明確になった
李への2罰打から10日後の2月6日、全米ゴルフ協会とR&Aは即時発効の明確化を公表した。
一つ目は、プレーヤーがいったんスタンスを解けば、コース上のどこでも違反を避けられるようにしたことだ。
二つ目は、「故意に後方に立つ」の意味を整理したこと。キャディーが違反となる位置にいることを認識している必要がある、と明確にされた。
規則の目的そのものを撤回したわけではない。キャディーが後方からプレーヤーの方向合わせを助ける行為を防ぐ考えは残したまま、偶然の位置取りまで同じように罰する運用を修正した形だ。
李の2罰打は消えなかった
ここも重要だ。
2月6日の明確化は、その後の運用を整理したもので、李の結果を遡って取り消す発表ではなかった。
欧州ツアーの後年の公式回顧にも、2019年大会で李が最終18番の2罰打を受けた事実は残っている。マッカーシーの罰が取り消されたケースとは扱いが違う。
李の公式結果は、2罰打を含んだままだった。
規則は4年待たずに補足できるようになった
この騒動が示したのは、キャディーの立ち位置だけではない。
全米ゴルフ協会は2020年の振り返りで、2019年から「明確化」という仕組みを導入し、不明確な規則を次の大規模改訂まで待たずに補足できるようにしたと説明している。規則10.2b(4)は、その初期の代表例だった。
2019年の新規則は、1月に施行され、実戦で問題が表面化し、2月には運用が補足された。
李への2罰打は消えなかった。一方で、その直後に続いた複数の判定と異議によって、規則当局は「何を禁止したいのか」と「どこまでを罰するのか」を短期間で言い直すことになった。
ルール変更の年に起きたのは、単なる誤審騒動ではなく、新しい規則を実戦で動かしながら調整する仕組みそのものの試運転だった。
出典:DP World Tour(2) / USGA(2) / PGA TOUR
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3行まとめ
- 2019年、キャディーの助言そのものは残しつつ、選手が構え始めた後に真後ろから狙いを合わせる行為が禁止された。
- 旧ルールとの違い、施行約5週間後の説明明確化、2026年の現行規則まで追う。
- 2019年より前の規則では、選手がスタンスを取っている間でも、キャディーが球の後方から向きを確認し、正しく目標へ合わせることが認められていた。