なぜ米男子ツアーに2人組戦が残った
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- 個人戦が基本の米男子ツアーに、2017年から36年ぶりの公式2人組戦が戻った。
- 初年度80組で始まった大会は、フォアボールとフォアサムを組み合わせる仕組みをどう作り、なぜ2026年も続いているのか。
- 導入理由、方式変更、賞金・得点、現在地を追う。
個人戦が基本の米男子ツアーで、毎年ひとつだけ空気の違う大会がある。チューリッヒ・クラシックだ。
選手は1人で順位を争わない。2人で組み、同じ優勝を目指す。米男子ツアーがこの形式を導入したのは2017年。公式チーム戦としては1981年以来、36年ぶりだった。
では、なぜ個人戦のツアーがわざわざ2人組戦を戻し、その仕組みを2026年まで残しているのか。
狙いは「いつもと違う大会」をつくることだった
2人組形式への変更は2016年秋に発表された。翌2017年、当時のジェイ・モナハン・コミッショナーは、チーム戦の人気を生かし、ファンへ普段とは違うものを提供する狙いを説明している。
初年度は80組、160人。選手が自分で相方を選ぶ方式だった。
通常の大会では、同組で回る選手も最後まで個人のライバルだ。チューリッヒ・クラシックでは、その関係が逆になる。誰と組むかまで競技の一部になり、2人のショットがひとつの順位へつながる。
米男子ツアーが変えたのは、単に人数ではなかった。個人戦では見えにくい「組む」という要素を公式戦の仕組みに入れた。
2つの方式を4日間で使う
大会はフォアボールとフォアサムという2種類の方式を組み合わせる。
フォアボールは、2人がそれぞれ自分の球をプレーし、各ホールで良い方のスコアをチームの記録にする。一方のフォアサムは、2人で1つの球を交互に打つ。片方のミスをもう片方がそのまま引き受けるため、同じ2人組でも競技の性格は大きく変わる。
2017年の初年度は、第1・第3ラウンドがフォアサム、第2・第4ラウンドがフォアボールだった。
ところが2018年、主催者は順序を反転させた。最終日をフォアサムにするためで、第1・第3ラウンドがフォアボール、第2・第4ラウンドがフォアサムになった。この並びは2026年も続いている。
今回の資料から確認できるのは、この2方式を採用した事実と順序変更までだ。なぜ最初からこの2方式の組み合わせを選んだのか、その個別の理由までは公式材料で確定できない。
相方は誰でもいいわけではない
2026年大会の出場は74組、148人。米男子ツアーの出場優先順位に基づく上位選手が出場を表明し、相方を選ぶ。
相方は原則として米男子ツアーの出場資格を持つ選手で、そうでない場合はスポンサー推薦として選ばれる必要がある。
つまり「好きな友人を連れてくる大会」ではない。通常のツアー資格を土台にしながら、その上に相方選びという自由度を加えた公式戦だ。
チーム戦でも賞金と得点は個人へ入る
2人で戦っても、米男子ツアーの年間競争から切り離されているわけではない。
2026年大会の賞金総額は950万ドル。優勝者には1人あたり137万2750ドルが支払われ、フェデックスカップの得点も1人あたり400ポイントだった。
2026年はマット・フィッツパトリックとアレックス・フィッツパトリックの兄弟が通算31アンダー、257で優勝した。アレックスは優勝時点で米男子ツアー非会員だったため、ツアーは400ポイントについて、会員資格を受け入れた時点で正式に加算されると説明している。
ペアで勝つ。しかし賞金と年間ポイントはそれぞれの選手へ戻る。個人戦のツアー制度の中へ、チーム戦を埋め込む構造になっている。
「人気だから残った」とまでは言えない
2017年に始まった形式は、2026年も現役だ。さらに2025年には、タイトルスポンサー契約が2030年まで延長された。
その発表で米男子ツアー側は、この独自のチーム形式がファンに受け入れられていると説明した。スポンサー側も、家族や友人と組んで競うことや、チームワークという企業側の考え方との重なりを大会の特徴として挙げている。
ここから「視聴率が高かったから残った」「収益が増えたから続いた」とまでは言えない。今回の材料には、その因果を証明する数字がないからだ。
それでも、確認できる事実は明確だ。36年ぶりのチーム戦は一度きりの企画では終わらず、競技方式を調整しながら2026年まで公式戦として続き、スポンサー契約も2030年まで延びた。
米男子ツアーが2017年に戻したかったのは、単なる昔のチーム戦ではない。個人戦を壊さず、その中へ「誰と組み、どう2人で戦うか」という別の見どころを入れることだった。
2026年のチューリッヒ・クラシックは、その実験が今も公式戦の一部として残っていることを示している。
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