足跡だらけでもバンカー ダスティン・ジョンソンの優勝争いを消した2罰打
GOLF DNA編集部🇺🇸

3行まとめ
- 2010年PGA選手権の最終18番。
- ダスティン・ジョンソンが入ったのは、観客が歩くロープ外の未整備に見える砂地だった。
- しかし大会の追加ルールでは、設計・造成された砂地は整備状態やロープの内外を問わずバンカー。
2010年PGA選手権の最終18番。ダスティン・ジョンソンは1打リードでティーに立っていた。ところが、その優勝争いを変えたのはショットそのものではなく、右側にあった小さな砂地の扱いだった。
そこは、一般的なテレビ映像で想像するような、きれいにならされたバンカーとは違った。観客が歩くロープ外の砂地で、未整備に見える場所だった。大会の追加ルール自体も、コース内のこうした砂地には足跡、かかと跡、タイヤ跡が残る可能性があると想定していた。
それでも2010年PGA選手権では、そこは「バンカー」だった。
見た目ではなく、大会が決めた定義が優先された
大会のSupplementary Rules of Play第1項は、設計・造成された砂のバンカーについて、整備されているかどうか、ロープの内側か外側かに関係なくバンカーとして扱うと定めていた。
さらに、足跡、かかと跡、タイヤ跡があっても無罰救済はないと明記されていた。
つまり選手から見て「荒れた砂地」「観客が歩く場所」に見えても、それだけで通常の地面になるわけではない。ウィスリング・ストレイツに大量に点在する設計・造成された砂地を、大会側があらかじめ一つの基準で扱っていた。
この追加ルールは隠されていたわけでもない。同時代の報道では選手ロッカールームに掲示され、全選手へ渡されたルールシートでも最初の項目だったとされている。
18番、4番アイアンの前にクラブが砂へ触れた
問題が起きたのは最終18番だった。
ジョンソンは右側の砂地から4番アイアンで打つ前に、クラブを砂へ接地した。当時の規則では、バンカー内でストローク前にクラブを地面へ触れさせることは認められていなかった。
大会の定義では、その場所もバンカーだ。結果としてジョンソンには2罰打が科された。
ここで重要なのは、「砂地に入れたから罰」ではないことだ。砂地から打つこと自体ではなく、その場所が大会ルール上のバンカーであり、そこでストローク前にクラブを接地したことが罰の対象になった。
1打リードから、2罰打でプレーオフ圏外へ
PGA公式記録では、ジョンソンの最終ラウンドは73、通算279、9アンダーで5位タイとなっている。
優勝したマルティン・カイマーとバッバ・ワトソンは通算277、11アンダーでプレーオフへ進んだ。ジョンソンに加えられた2罰打をスコアから除けば同じ277になるため、この裁定がプレーオフ進出を消したことになる。
ただし、「罰がなければジョンソンが優勝していた」とまでは言えない。分かるのは、2罰打がなければ優勝を争うプレーオフに加わるスコアだった、というところまでだ。
5年後も同じ方針だった
この扱いは2010年だけの突発的な裁定ではなかった。
2015年にPGA選手権が再びウィスリング・ストレイツで行われた際、PGA of Americaのケリー・ヘイグは、同じように設計・造成された砂地をバンカーとして扱う方針を継続すると説明している。
一方で、ジョンソンが2010年に違反したまさにその地点は、2015年には観戦区域に覆われ、プレー区域から外れていた。
同じコースでも、大会運営によってプレー区域は変わる。それでもプレー区域に残る砂地については、2015年も見た目ではなく大会が定めた分類が基準だった。
2010年の出来事が示したのは、単に「ローカルルールを読まないと危ない」という話だけではない。選手の目には未整備の砂地に見えても、競技では外観ではなく、その大会が事前に定めた区域の定義がスコアを決めることがある。
最終18番、1打リード。優勝争いを変えたのは、難しい4番アイアンのショットではなく、その前にクラブが触れた砂と、大会がその砂をどう定義していたかだった。
出典:pgachampionship.com(2) / golfchannel.com(2) / espn.com
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