「1クラブ長」の思い込みで26打罰 今田竜二が13回違反を重ねたプリファードライの落とし穴
GOLF DNA編集部🇨🇳

3行まとめ
- 2010年のミッションヒルズ・スター・トロフィーで、今田竜二はプリファードライの救済範囲を1クラブ長と思い込み、最大13回の違反で計26打罰。
- 罰を除けば首位タイだった。
- なぜ同じ違反が積み上がり、2026年の現行規則でも同じ思い込みが起こり得るのかを追う。
2010年のミッションヒルズ・スター・トロフィーで、今田竜二の第1ラウンドは「97」、24オーバーになった。そのうち26打は、ショットのミスではなくローカルルール違反による罰打だった。
しかも、罰打がなければ第1ラウンド首位タイだったと、事件直後のUSGAの記事は確認している。
なぜ、首位級のゴルフをしていた選手が26打もの罰を受けたのか。原因は、プリファードライの救済範囲を「1クラブ長以内」と思い込んだことだった。
「1クラブ長」と「スコアカード1枚分」
大会は軟らかいコンディションのため、球を拾い上げて泥などを拭き、指定された範囲内に置き直せるプリファードライを採用していた。
今田は、その範囲を1クラブ長以内だと判断した。同時代のGolf Channelは、今田が米男子ツアーで慣れていた運用を当てはめたと伝えている。
ところが、この大会が指定していた範囲は「スコアカード1枚分の長さ」だった。
つまり、置き直すこと自体は認められていても、置いてよい範囲が違った。今田は一度だけ間違えたのではない。同じ前提のままプレーを続けたため、違反が積み上がっていった。
なお、1クラブ長が2010年の米男子ツアー全大会で常に共通だったことまで確認できているわけではない。ここで重要なのは、今田が別の競技で身についた「1クラブ長」という既定値を、この大会にも当てはめてしまったことだ。
12番で発覚。本人が申告した「最大13回」が採用された
違反に気づいたのは12番ホールだった。同伴競技者のダニー・リーが、今田の置き直し方が大会のローカルルールと違うことを指摘した。
問題は、それまでに何回同じことをしたかだった。
今田自身は正確な回数を思い出せなかった。そこで最大13回だったと申告し、大会責任者はその数字を採用した。
当時のプリファードライに関するUSGAの案内では、ストロークプレーでこのローカルルールに違反した場合は2打罰。13回それぞれに2打が加わり、13回×2打で合計26打罰となった。
「26打罰」という一つの巨大な罰が科されたのではない。同じ思い込みから生まれた2打罰が、最大13回積み上がった結果だった。
大会固有のローカルルール原紙そのものは今回の調査では確認できていない。ただ、USGAは2010年11月のルール解説記事で、今田が12番で誤りを知るまで約13回、1クラブ長に置き直し、大会指定はスコアカード1枚分だったため各2打、計26打罰になった経緯を説明している。
2026年でも「プリファードライ=1クラブ長」ではない
この出来事は2010年の珍事で終わらない。
2026年9月16日時点のR&AのモデルローカルルールE-3でも、プリファードライの救済区域の大きさは委員会が指定する仕組みになっている。例として示されているのは、1クラブ長、スコアカード1枚分、6インチなどだ。
つまり現在も、「プリファードライなら何クラブ長」と全国共通の一つの距離が決まっているわけではない。大会や競技ごとに、その日のローカルルールで指定された範囲を確認する必要がある。
現行E-3でも、指定された救済区域を外れて誤所からプレーすれば、規則14.7aによる一般の罰の対象になる。
今田のケースで起きたのは、ルールの存在そのものを知らなかったというより、「知っている手順」に「知っている距離」を自動的に組み合わせてしまったことだった。
16年後の現行規則でも、この構造は残っている。プリファードライで覚えておくべき固定値は「1クラブ長」ではない。確認すべきなのは、その競技で委員会が指定した救済区域の大きさだ。
出典:golfchannel.com / GDOニュース / The R&A / USGA(2)
関連記事
48インチは違反じゃない それでもトップ競技が46インチで止める理由
3行まとめ
- クラブの一般用具規格では、パターを除き48インチ(約121.9cm)まで適合し得る。
- 一方、G-10を採用した競技では46インチ(約116.8cm)超をストロークに使えない。
- 同じクラブが「適合」と「その大会では使えない」を両立する、二層のルールを整理する。