砂漠も溶岩もペナルティーエリアに 2019年ルール改正が「水のない難所」まで広げた理由
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- 2019年のルール改正で、ウォーターハザードはより広い「ペナルティーエリア」へ変わり、砂漠・ジャングル・溶岩など水のない区域も指定できるようになった。
- 区域内でクラブを地面に接地することなどへの特別な禁止も撤廃。
- 2026年の現行規則まで追うと、狙いは名称変更ではなく、救済と禁止事項を実用本位に組み直すことだった。
2018年までのゴルフ規則には「ウォーターハザード」と「ラテラル・ウォーターハザード」があった。ところが2019年の大改正で、この枠組みは「ペナルティーエリア」へ置き換えられた。
面白いのは、名前が変わっただけではないことだ。
新しいペナルティーエリアには、池や川のような水域だけでなく、砂漠、ジャングル、溶岩地帯といった「水のない場所」まで含められるようになった。さらに、区域内でルースインペディメントを動かしたり、クラブや手で地面に触れたり、クラブを球の後ろに接地したりすること自体への特別な禁止もなくなった。
なぜ、ここまで変えたのか。
基準は「水があるか」から「通常のプレーが難しいか」へ
米国ゴルフ協会(USGA)とR&Aが2019年改正の理由として示した考え方は、かなり実務的だ。
水がある場所だけを特別な救済区域にする一方で、球を見つけるのが極めて難しい場所や、通常のアンプレヤブルの救済では現実的に処理しにくい場所を別扱いにするのは合理的ではない。そこで委員会が、コース上の実情に応じて非水域もペナルティーエリアに指定できるようにした。
2026年9月17日に再確認されたR&Aの委員会手順でも、その考え方は続いている。例として挙げられているのは、密生した植生で球がほぼ常に失われる区域、火山岩、砂漠などだ。
さらに現行のモデルローカルルールには、「すべての砂漠区域を赤いペナルティーエリアとする」「すべての溶岩区域を赤いペナルティーエリアとする」という例まで示されている。
つまり2019年改正は、「水」という地形の種類よりも、「そこで普通に球を探し、普通の救済でプレーを続けられるか」を重視する方向へ枠組みを広げたわけだ。
クラブを地面につけても、それだけでは罰ではなくなった
もう一つ大きく変わったのが、区域内での行動だ。
旧ウォーターハザードでは、クラブを地面につけることなどに特別な制限があり、例外も多かった。規則当局は、こうした禁止が複雑で、プレーにほとんど影響しない軽微な行為まで罰につながり得ることを問題視した。
そこで2019年からは、ペナルティーエリア内でも、ルースインペディメントを動かす、地面に触れる、クラブを球の後ろに接地するといった行為そのものを特別には禁止しなくなった。
もちろん、何をしてもいいわけではない。ストロークに影響する状態を意図的に改善する行為は、現在も規則8.1の対象になる。
変わったのは「区域内では地面に触れただけで特別扱い」という発想であり、ライを改善してよいという意味ではない。
2026年現在も基本構造は続いている
2026年時点の規則17でも、ペナルティーエリアに入った球は、原則として一般区域と同じ規則でそのままプレーできる。区域から外へ出すなら、定められた1罰打の救済を選ぶ。
この仕組みを見ると、2019年改正の狙いがはっきりする。
球が見つかりにくい、通常の救済が機能しにくい、安全やプレー進行の面で特別な扱いが必要になる。そうした場所に共通の救済手段を用意する一方、区域内での細かな禁止は減らす。地形の名前より、実際にどうプレーを続けるかを優先した。
ただ、ここから「改正でプレー時間が何分短くなった」「罰打が何割減った」とまでは言えない。今回確認した資料には、その効果を実測した数字はない。
それでも、規則の考え方が変わったこと自体は明確だ。
池や川だから特別扱いするのではない。砂漠でもジャングルでも溶岩でも、通常のプレーや救済がうまく機能しないなら、同じ仕組みで処理できるようにする。
2019年に「ウォーターハザード」という言葉が消えた背景には、単なる用語整理ではなく、ゴルフ規則を地形の分類からプレーの実用性へ寄せる転換があった。
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