動く相手球を拾ってホールを失った日
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- 2017年、もう入る可能性がないように見えた相手の動く球を拾ったスピースはホール負けになった。
- 2019年から同じ種類の場面が限定的に無罰となった理由を、旧規則と現行規則の境界から追う。
- 2017年のプレジデンツカップで、ジョーダン・スピースは一見すると勝敗に影響しないような行為でホールを失った。
2017年のプレジデンツカップで、ジョーダン・スピースは一見すると勝敗に影響しないような行為でホールを失った。
土曜午後のフォアボール、12番。試合はオールスクエアだった。ジェイソン・デイがカップ近くへ寄せ、ルイ・ウーストハイゼンの第2打はホールを通り過ぎた。その球がまだ動いている間に、スピースは拾い上げた。
球はもうカップへ入る合理的な可能性がないように見えた。それでも当時の裁定は、スピース側のホール負けだった。理由は旧規則1-2。動いている相手の球を故意に止めた行為そのものが罰の対象になり、実際にその球が入ったかどうかとは別に扱われた。
相手側も裁定に抗議したが、マッチレフェリーは旧規則1-2の違反としてホール負けを適用した。
ところが2019年の規則整理で、この種の場面には限定的な例外が入った。米国ゴルフ協会の解説は、相手の球がホールを引き分けるために入る必要がある一方、その球に入る合理的な可能性がない場合、動いている球を止めても罰を科さないケースを示している。2017年のスピースの場面も、旧規則なら罰だった例として紹介された。
この例外は2026年の現行規則にも残っている。つまり現在なら、「相手の球が入らなければホールを引き分けられず、しかもその球にはもう入る合理的可能性がない」という特定のマッチプレー状況では、停止行為を無罰として扱える。
ただし、相手の動く球を好きに止めていい規則になったわけではない。現行規則でも、動いている球を意図的に止める行為は原則として罰の対象だ。無罰になるのは、球がもはやそのホールの勝敗へ影響しないことが明確な限定場面である。
ここで「スピース事件をきっかけに規則が変わった」と結論づけるのも早い。ゴルフ規則の近代化作業は2012年に始まり、改正案は2017年3月に公表されていた。スピースの出来事は同年9月なので、改正作業そのものは事件より前から進んでいた。
2017年と現在で違うのは、球を拾ったという動作ではない。規則が「結果に影響しないのに同じ罰を科す必要があるか」という場面を切り分けたことだ。あの日のホール負けは、旧規則では正しい裁定だった。同時に、現在の規則では同じ種類の状況を別に扱う。その差を見ると、ゴルフ規則が単に緩くなったのではなく、勝敗へ影響する行為と影響しない行為の境界を細かく引き直したことが分かる。
出典:PGA TOUR / USGA(2・3) / pgatourmedia.pgatourhq.com / The R&A
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