障がいのある選手のルールは2023年に「委員会の任意採用」から正式規則へ 補助者・アンカリング・4クラブレングス救済の仕組み
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- 2023年、それまで委員会が採用した場合だけ使えた障がいのあるプレーヤー向け修正が「規則25」として正式規則へ統合された。
- 大幅なルール緩和ではなく、公平にプレーするための仕組みを対象資格を満たすプレーヤーが利用できる位置づけへの転換だった。
- 補助者、アンカリング、車いす等の4クラブレングス救済、資格確認、日本での現行運用まで整理する。
2023年版以前、障がいのあるゴルファー向けの修正ルールは、通常のゴルフ規則とは別の文書だった。使うには、その競技の委員会がローカルルールとして採用する必要がある。対象となる選手がいても、修正は自動では適用されなかった。
この扱いが2023年1月1日に変わった。R&AとUSGAは、それまでの「Modified Rules for Players with Disabilities」を規則25としてゴルフ規則そのものへ統合した。対象資格を満たすプレーヤーには、競技でも一般プレーでも適用される。
重要なのは、2023年に突然ルールを大きく緩めたわけではないことだ。統括団体の案内では、2019年版の修正ルールから大きな実体変更はない。変わった中心は、必要な修正を「委員会が選んで採用する特例」から「正式なゴルフ規則の一部」へ移したことだった。
目的は優遇ではなく、同じ競技を成立させること
規則25が掲げる目的は、特定の障がいがあるプレーヤーが、障がいのないプレーヤー、同じ障がいのあるプレーヤー、異なる障がいのあるプレーヤーと公平にプレーできるよう、必要な部分だけ規則を修正することにある。
現行規則が対象とするのは、視覚障がい、切断・四肢欠損、補助移動機器の使用、知的障がいの4カテゴリーだ。
同じ「ゴルフ」を成立させるには、全員に同じ動作を要求することが必ずしも公平とは限らない。規則25の具体例を見ると、その考え方が分かりやすい。
視覚障がいのある選手は、補助者とキャディーを併用できる
視覚障がいのあるプレーヤーは、補助者からスタンスや狙い、助言の支援を受けられる。補助者は同時に1人までで、別にキャディーを置くこともできる。
一方で、補助者とキャディーを別々に置く場合、補助者が通常のキャディーと同じようにクラブを運ぶことまで無制限に認められるわけではない。役割は、誘導やスタンス、狙いなど必要な支援を中心に区切られている。
「もう1人キャディーを増やせる」という規則ではなく、視覚情報を補う役割を別に認めているわけだ。
アンカリングも、カテゴリーだけで自動的に許されるわけではない
通常、クラブや握った手を身体へ固定するアンカリングは規則10.1bで禁止されている。
ただし規則25では、切断・四肢欠損のため、または補助移動機器を使うために、大半のクラブをアンカリングなしでは保持・スイングできない場合、罰なしでアンカリングできる。
ここにも条件がある。対象カテゴリーに入れば誰でもアンカリングできるのではない。障がいや移動補助器具が、実際に通常の保持・スイングを困難にしていることが前提だ。
車輪付き移動機器では、2クラブレングスが4クラブレングスになる場面もある
車いすなど車輪付きの移動補助器具を使うプレーヤーには、救済範囲そのものを広げる修正もある。
例えば、赤いペナルティーエリアからの横方向救済や、アンプレヤブルの球の横方向救済では、通常2クラブレングスの救済エリアが4クラブレングスになる。
これは「広く好きな場所へ出せる」という意味ではない。移動機器を使いながら、通常の2クラブレングスだけで現実的なプレー位置を確保する難しさを調整する修正だ。バンカーのアンプレヤブルでも、一定条件でバンカー外の後方線上救済を1罰打で選べる。
2023年に変わったのは「誰かが採用しないと使えない」という入口
2022年、R&AとUSGAは2023年の規則改正で、この修正ルールを規則25として本則へ組み込む方針を示した。
それ以前は、別文書を委員会が採用しなければ使えなかった。2023年以降は、対象資格を満たすプレーヤーに規則25が適用される。つまり制度転換の核心は、修正内容そのものを大幅に増やしたことではなく、適用の入口を変えたことにある。
JGAの日本語版2023年規則も規則25を収録している。2026年9月20日時点で、JGAは2023年1月1日施行の規則とオフィシャルガイドを現行資料として掲載している。
では「対象資格」は誰が決めるのか
正式ルールになったからといって、自己申告だけで自由に修正を選べるわけではない。
統括団体の指針では、まずクラブ委員会や競技委員会が、障がいのカテゴリーと、それがゴルフをプレーする能力へどう影響するかを確認する。必要に応じて医療証明書、国内統括団体の確認、正式に認可された機関のパスなどを証拠として求められる。
JGAのオフィシャルガイドも同じ枠組みを示しており、競技条件として特定の証明書やパスを求めることもできる。
逆に、世界中で一つの証明書だけが必須という制度ではない。プレー仲間へ毎回証明する仕組みでもない。誰が対象かを一貫して判断できるよう、統括団体や委員会が運用を整える設計になっている。
規則25でも、コースへの物理的アクセスまで自動で変わるわけではない
規則25が正式規則になっても、ゴルフ場のすべての運営ルールが自動的に変わるわけではない。
R&AとUSGAのガイダンスは、安全、コース状態、物理的なアクセス、ゴルフカートや移動機器の使用に関する運営者の責任は別に残るとしている。各国の法令も関係する。
規則25が調整するのは、競技としてゴルフを成立させるための規則だ。施設そのものの段差や移動経路、カート利用条件まで一律に解決する制度ではない。
2023年の統合が示したのは、「特別扱いを増やす」という方向ではなかった。必要な修正を、毎回委員会が特例として選ぶ仕組みから、対象資格を満たすプレーヤーが最初から使える正式ルールへ移したことだ。
補助者、アンカリング、4クラブレングス救済は見た目には通常規則と違う。しかし、その違いを入れる目的は、競技そのものを別物にすることではない。同じゴルフを、公平に成立させるためである。
出典:USGA(2・3) / The R&A(2・3) / JGA(2・3)
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- 一方、G-10を採用した競技では46インチ(約116.8cm)超をストロークに使えない。
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