優勝を祝ったら警備員にタックル その緑のパーカーは展示品になった
GOLF DNA編集部🇨🇦

3行まとめ
- 2023年RBC Canadian Open、ニック・テイラーが約24ヤードのイーグルパットで69年ぶりのカナダ人優勝。
- 祝福に走った同大会出場者アダム・ハドウィンは、私服・認証札なしで観客と誤認され警備員に倒された。
- 翌年には公式回顧で笑い話として扱われ、当日の緑のパーカーとシャンパン瓶のコルクはゴルフ史の展示物になった。
ゴルフの歴史資料といえば、優勝トロフィー、名器、伝説のスコアカードあたりを想像する。
だがカナダでは、**警備員にタックルされたときの緑のパーカー**まで展示物になった。
しかも着ていたのは観客ではない。PGA TOURの選手、アダム・ハドウィンである。
約24ヤードが入って、18番が一気にお祭りになった
2023年6月11日、RBC Canadian Open。ニック・テイラーはトミー・フリートウッドとのプレーオフ4ホール目で、約24ヤードのイーグルパットを沈めた。
カナダ人が自国のナショナルオープンを制するのは、1954年のパット・フレッチャー以来69年ぶり。ボールが消えた瞬間、18番グリーン周辺はほとんど祝勝会になった。
同じ大会に出場していたカナダ勢も駆け寄った。その一人が、テイラーと同郷で親しいハドウィンだった。
手にはシャンパン。目的はただ一つ。友人の歴史的優勝を祝うことだった。
「選手です」が見た目では伝わらなかった
ところがハドウィンはグリーンへ入った直後、警備員に勢いよく倒された。
PGA TOURが翌年に振り返った説明では、ハドウィンは私服姿で、認証札も付けていなかった。大勢がグリーンへ押し寄せる混乱の中なら、警備員から見れば「シャンパンを持って走り込んできた観客」に見えても不思議ではない。
もちろん、実際にはその日の出場選手である。
ここが、この珍事件のおかしさだ。警備員は選手を止めた。選手は友人を祝おうとした。どちらも、その瞬間に自分の役割をやっていた。
PGA TOURの回顧では、ハドウィンと警備員はすぐに笑い話にしたとされている。大きな対立へ発展した事件ではなかった。
そしてパーカーが「証拠品」ではなく「歴史資料」になった
普通なら、ここで終わる。
映像が拡散され、何日か笑われ、次の大会が始まれば忘れられる。
ところが翌2024年6月、Golf CanadaがTPC Torontoのクラブハウスを紹介した記事に、妙な展示物が登場する。
**ハドウィンがタックルされた日に着ていた緑のパーカー。さらに、祝福に持ち込んだシャンパン瓶のコルク。**
どちらもCanadian Golf Hall of Fameの展示として紹介された。
考えてみれば、この2点はかなり優秀な「歴史資料」だ。
パーカーを見るだけで、選手なのに観客と間違われた理由が分かる。コルクを見れば、あの日が単なる警備トラブルではなく、69年ぶりの母国選手優勝を祝う大騒ぎの中で起きた出来事だったことまで思い出せる。
トロフィーが「誰が勝ったか」を残すなら、このパーカーは「勝った瞬間、周りで何が起きていたか」を残している。
2026年、舞台そのものがカナダゴルフの“家”になった
その後、Golf CanadaはTPC Torontoを新しい拠点「Home for Canadian Golf」として整備。公式ページでは、職員が2026年4月13日までに新本部へ移転したとしている。
Canadian Golf Hall of Fame and Museumのコレクションも、本部、クラブハウス、会議施設、プロショップなど、TPC Torontoの敷地内各所へ展示する構想が案内されている。
ただし、2026年9月時点の現行公式ページでは、ハドウィンのパーカーとコルクが**今も同じ場所に展示中か**までは個別確認できない。そこは現在形で断定しない。
確認できるのは、少なくとも2024年にこの珍事件の品が公式展示まで昇格したことだ。
ゴルフ史は、優勝者だけではできていない
ニック・テイラーの約24ヤードの一打は、記録として残る。
だが、その瞬間の空気まで残そうとすると、必要なのはスコアだけではない。
歓声、シャンパン、混乱。そして、選手だと気づかれずに倒された男の緑のパーカー。
歴史的な一打の横で起きた数秒の珍事が、数年後にはゴルフ殿堂の展示になる。
出典:golfcanada.ca(2・3) / PGA TOUR
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