グリーンは、 同じように 散水しても 一部だけ極端に 乾くことがある?
散水・局所乾燥
まず答え
あります。砂主体のグリーンでは、土壌が部分的に水をはじく「局所乾燥斑」が起こり、水が乾いた場所へ染み込まず周囲へ逃げることがあります。ただし、散水ムラ、地形、根の状態などでも局所乾燥は起こるため、乾いた斑点だけで撥水性と断定はできません。
詳しい解説
同じ時間だけ散水しても、グリーン全体が同じように湿るとは限りません。代表的な原因の一つが、砂の粒子表面に有機性の被膜ができて水をはじく「土壌撥水性」です。撥水性が強い場所では、水が土へ入りにくく横へ流れたり、湿りやすい経路だけを通ったりするため、周囲が湿っているのに一部だけ乾く局所乾燥斑ができます。
Tuckerらの1990年の研究では、ベントグリーンの局所乾燥斑と隣接する健全部を比較しました。乾燥斑では水滴が浸透するまでの時間と接触角が大きく、撥水性が明確に強い一方、土壌の化学性には大きな差がありませんでした。撥水性は主に表層約50mmに集中し、電子顕微鏡では砂粒表面の有機物被膜も確認されています。つまり『水が足りないから乾く』だけでなく、『水がそこへ入りにくいから乾く』場合があります。
近年の研究でも、砂主体のパッティンググリーンでは局所乾燥斑と土壌撥水性の関係が確認されています。Powlenらの2025年の圃場試験では、界面活性剤の散布後にすぐ散水した処理が、高温・少雨でストレスが強い時期に表層の水分を高め、上部1cmの撥水性を低下させました。これは、同じ総散水量でも水の入り方を改善すると局所的な乾燥を抑えられることを示しています。
ただし、局所乾燥の原因は撥水性だけではありません。USGAは、盛り上がった場所や日射の強い斜面では蒸発量が大きく、散水設備の分布ムラ、根域の厚さ、土壌構造などでも水分差が生じるとしています。実務では、見た目だけで判断せず、水分計で複数地点を測り、土壌コアを確認し、必要なら撥水性の検査を行って原因を分けます。対策も、散水量を一律に増やすのではなく、散水分布の修正、手散水、界面活性剤、根域管理など原因に合わせて選びます。