ゴルフ場の 排水は、 地表の 勾配を 急に すればする ほど 良くなるの?
排水工学
まず答え
いいえ。水を動かすには適切な勾配が必要ですが、急にしすぎると流速が上がり、侵食や水の集中、プレー・管理の難しさが増えます。排水は『最大の勾配』ではなく、土質や地形に合わせて水を安全な出口へ運ぶ勾配と排水設備を組み合わせて設計します。
詳しい解説
地表排水では、ある程度の勾配がなければ雨水が低い場所に滞留しやすくなります。そのため平らすぎるフェアウェイでは、水たまりや軟弱化が起こりやすくなります。
一方、勾配を急にすればするほど良いわけではありません。USGAが公開するバージニア州向けの環境管理資料では、フェアウェイの一般的なプレー可能勾配として1〜8%程度を示し、より急な斜面も維持・プレーできるものの、同州では中程度の勾配を推奨しています。これは全国共通の最適勾配や設計基準を示すものではありません。また排水設計では、場所によって水を速めるだけでなく、必要に応じて流れを遅くする考え方も示されています。
急斜面では表面流の速度と集中が大きくなりやすく、土や砂が削られたり、低い場所へ大量の水が集まったりします。排水管や集水口も、流れ込む水量へ対応できなければ別の場所であふれます。USGAの近年の排水解説でも、急なフェアウェイでは水が速く移動するため、排水管の大きさや配置をそれに合わせる必要があるとしています。
さらにゴルフ場では排水だけでなく、プレーしやすさ、芝刈りや管理機械の安全、地形の戦略性も必要です。排水のためだけに不自然な急斜面を作ると、別の問題を増やすことがあります。
実務では、地表に緩やかな『正の勾配』を作って水を集水点へ導き、必要な場所で側溝、集水桝、暗渠排水などを組み合わせます。土が水を通しにくい場所では、表面勾配だけを強くするより内部排水を改善する方が有効なこともあります。
つまり良い排水設計は、水を最速で流すことではなく、適切な量を安全なルートで出口まで運び、途中で滞留・侵食・集中流を起こしにくくすることです。