ドライバーでは 6番アイアンより、 リード脚の 足首・膝・股関節の 関節モーメントは 大きくなる?
下肢キネティクス・多関節制御
まず答え
高度熟練者10人を調べた2018年の研究では、ドライバーを打つときは6番アイアンより、リード脚の足首・膝・股関節の正味関節モーメントが全体として大きくなる傾向が示されました。ただし、各関節の使い方には個人差があり、「ドライバーでは全員が同じ割合で強く使う」という意味ではありません。
詳しい解説
関節モーメントは、関節まわりで身体を回したり支えたりする力学的な作用を表す量です。単純な筋力そのものではなく、地面反力と身体各部の運動から計算されます。
PetersonとMcNitt-Grayの2018年研究では、高度熟練ゴルファー10人が6番アイアンとドライバーを打ち、地面反力と3次元の身体運動から、ダウンスイング中の両脚の足首・膝・股関節の正味関節モーメントを算出しました。
その結果、参加者は全体として、ドライバーを打つときにターゲット側、つまり右打ちならリード脚の足首・膝・股関節の正味関節モーメントを増やしていました。一方で、リード脚全体が生み出す3次元支持モーメントの中で、各関節が占める相対的な寄与はおおむね保たれていました。つまり、ドライバーでは下肢全体の力学的な要求が大きくなっても、関節同士の分担そのものを大きく作り替えるとは限らない、という結果です。
ただし、研究では選手ごとの多関節制御戦略にも違いがありました。また対象は高度熟練者10人と少数で、アマチュア全般や初心者にそのまま当てはまるとは限りません。さらに関節モーメントが大きいことを、そのまま故障リスクや『強く使うべき量』と読み替えることもできません。
したがって、この研究から言えるのは「高度熟練者では、6番アイアンよりドライバーでリード脚の足首・膝・股関節の力学的要求が一般に増える」という範囲です。個人のスイングを評価するときは、数値の大小だけでなく、左右脚の役割、関節間の分担、打球結果まで合わせて見る必要があります。