ゴルフ百科事典

揚力係数とスピンで生じる揚力は、どう違う?

空力・揚力

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まず答え

は、ボールが空気から揚力を受けやすい性質を条件付きで表す無次元の係数です。スピンで生じる揚力は、実際にボールへ働く力そのものです。同じ揚力係数でも、ボール速度や空気密度が違えば実際の揚力は変わります。

詳しい解説

揚力係数と揚力は、同じものではありません。

揚力は、飛んでいるボールへ実際に働く空気力です。NASAが示す基本式では、揚力Lは「揚力係数CL × 空気密度ρ × 速度Vの2乗 × 基準面積A ÷ 2」で表されます。ここでVはボールと空気の相対速度の大きさで、風があるときの地面に対するボール速度とは分けます。つまり、揚力係数は実際の力を直接示す値ではなく、形状や流れの条件がどれだけ揚力を生みやすいかを整理した係数です。

ゴルフボールでは、バックスピンによって流れが非対称になり、主に上向きの揚力が生じます。このとき、回転の影響を含めた空力特性を揚力係数として表せます。鳴尾らは実物のゴルフボールを最大10,000rpm、風速最大80m/sの風洞で測定し、揚力係数がスピンパラメータに依存することを示しました。したがって、回転数だけを見て揚力の大きさを固定的に決めることはできません。

たとえば、同じ揚力係数でもボール速度が高ければ、速度の2乗に関係する動圧が大きくなるため、実際の揚力は大きくなり得ます。逆に、同じ3000rpmでもボール速度が違えば、速度に対する回転の比率が変わるため、揚力係数自体も同じとは限りません。

実用上は、揚力係数を「ボールの空力特性を比較する指標」、スピンで生じる揚力を「その条件で実際に働く力」と分けて読みます。弾道を考えるときは、揚力係数だけでもだけでもなく、ボール速度、回転量、空気密度、ディンプル設計などを合わせて見る必要があります。