アドレスの 「骨盤前傾」って、 何を 表す?
セットアップ・骨盤前傾
まず答え
骨盤前傾は、アドレスで骨盤という身体セグメントが基準座標に対して前後方向へどれだけ傾いているかを表す3次元の姿勢指標です。股関節の曲がりや腰の反りそのものとは別で、計測する座標系や定義によって数値は変わります。
詳しい解説
3Dスイング解析でいう「骨盤前傾」は、骨盤を一つの身体セグメントとして扱い、その向きが基準となる座標系に対して前後方向へどれだけ傾いているかを見る値です。研究では pelvis forward bend や pelvis anterior-posterior tilt などの名称で扱われます。
これは「股関節を何度曲げたか」と同じ数字ではありません。股関節屈曲は骨盤と大腿部の相対角度ですが、骨盤前傾は骨盤そのものの空間上の向きです。また、腰椎の反りや胸郭前傾とも別の指標なので、「骨盤前傾が大きい=腰を強く反っている」とは限りません。
実際のゴルフ研究では、胸郭と骨盤を別々のセグメントとして3次元計測し、前後傾・側屈・回旋を分けて評価しています。Evansらの20人のゴルファーを対象とした研究では、骨盤のforward bendを含む3D運動学を測定し、測定者や日をまたいだ再現性も検討しました。Horanらの熟練ゴルファー研究でも、アドレス時の骨盤と胸郭の前後傾を独立した姿勢指標として扱っています。
さらに、Kimらが11人の男性プロを調べた研究では、ボールとの前後距離を変えるだけで、体幹・股関節・膝・足首などのアドレス角度が連鎖して変化しました。つまり骨盤前傾は単独で決まる姿勢ではなく、ボールとの距離、股関節・膝の曲がり、クラブ長などと組み合わさって成立します。
そのため「骨盤前傾は何度が正解」と固定するのは適切ではありません。同じ選手の変化を見るなら、同じ計測機器、同じ座標定義、同じクラブ・ボール位置で比べ、胸郭前傾や股関節屈曲、打点・出球の再現性と合わせて読むのが実用的です。