ゴルフスイングの 「運動冗長性」とは?
協調・変動性
まず答え
運動冗長性は、同じクラブヘッドの位置・向きなどの結果を作るために、関節や身体各部の動かし方に複数の組み合わせがあることです。ゴルフでは「余分な動きがある」という悪い意味ではなく、必要な結果を保ちながら身体側の動きを調整できる余地として捉えます。
詳しい解説
運動冗長性は、身体にある多くの関節や自由度を使って、同じ課題結果を複数の動き方で作れる性質です。ゴルフなら、インパクトで必要なクラブヘッドの位置や向きをほぼ同じに保ちながら、各関節の細かな動きは毎回完全には一致しないことがあります。
ここでいう「冗長」は、無駄な動きという意味ではありません。運動制御では、必要な結果より身体の自由度の方が多いため、関節同士が補い合える「豊富さ」として扱われます。同じ結果に至る動き方が1通りしかないわけではありません。
Morrisonらは高技能・中技能ゴルファーのスイングを3D計測し、非制御多様体という方法で、試行ごとの関節角度のばらつきを「クラブヘッドの結果を保つ方向のばらつき」と「結果を変える方向のばらつき」に分けました。高技能群では、測定した各結果について、結果を保つ方向のばらつきの割合がより大きい傾向が示されました。またクラブヘッドの向きや複数結果の組み合わせでは、関節間の協調によるシナジーが確認されました。
これは「上級者ほど毎回違う動きをする方が良い」という意味ではありません。ランダムなばらつきが大きすぎれば、打点やフェース向きなど必要な結果も乱れます。重要なのは、動きの変化が結果を壊すのか、それとも関節同士が補い合って結果を保っているのかです。
実用上は、動画で関節角度が毎回完全一致するかだけでスイングの再現性を判断しません。複数球でクラブ挙動や打球結果も合わせ、結果を保ちながら許容されている身体側の変化と、結果を乱す変化を分けて見ます。運動冗長性は「理想フォームを一つに固定しなくても結果を安定させられる仕組み」を理解するための考え方です。