TaylorMadeを売ってもゴルフ撤退ではなかった adidasが4億2500万ドルで手放し、服と靴を残した理由
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- 2017年、adidasはTaylorMade、Adams Golf、Ashworthを総額4億2500万ドルで売却した。
- だが同時に残すと明言したのが、adidas Golfのウェアとシューズだった。
- 2026年にも新しいゴルフ向けウェアとシューズを投入しており、あの取引は「ゴルフ撤退」ではなく事業の切り分けだったことが見えてくる。
2017年、「adidasがTaylorMadeを売る」というニュースを見て、ゴルフから手を引くのだと思った人は少なくなかったはずだ。
だが、当時の公式発表を読み直すと、実際に起きたことは少し違う。
adidasが手放したのはTaylorMade、Adams Golf、Ashworthの3ブランド。一方で、adidas Golfのウェアとシューズは残すと明言していた。
9年後の2026年も、その選択は続いている。
4億2500万ドルで3ブランドを売却
adidasが売却契約を発表したのは2017年5月10日。買い手は米投資会社KPS Capital Partnersの関連会社で、取引総額は4億2500万ドルだった。
ここでいう4億2500万ドルは、そのまま全額が現金で入る金額ではない。公式発表では約半分を現金、残りを担保付きの債権と条件付き対価の組み合わせで受け取る契約だった。
売却対象はTaylorMadeだけではない。Adams GolfとAshworthも含まれた。
では、なぜ世界的に知られたゴルフブランドをまとめて手放したのか。
当時のadidas最高経営責任者カスパー・ローステッドが示した説明は明快だった。長期戦略では、自社の中核能力である「シューズとウェア」に集中し、主要ブランドのadidasとReebokへ経営資源を寄せるというものだ。
だから、この売却を「TaylorMadeが弱かったからadidasがゴルフを諦めた」と一本の理由で説明するのは正確ではない。少なくとも会社自身が示した理由は、得意分野へ集中するための事業選別だった。
売却完了時にも「adidas Golfは続ける」と書いた
取引は2017年10月2日付で正式に完了した。
その2日後、adidasは完了を知らせる発表の中で、TaylorMade、Adams Golf、Ashworthの売却後も、adidas Golfとしてゴルフ用のウェアとシューズを提供し続けると明記した。
ここが、この話の一番重要なところだ。
売ったのは「ゴルフという市場」ではない。クラブなどの用具事業を中心とした3ブランドを切り離し、自社ブランドで強みを持つ服と靴は残した。
同じゴルフ市場の中でも、何を自分で持ち、何を手放すかを分けたのである。
そして2026年、adidas Golfはまだ新商品を出している
その判断が一時的なものではなかったことは、2026年の動きを見ると分かる。
adidasは2026年2月、米Metalwood Studioとの初のゴルフ向け共同企画を発表した。
商品はポロ、ウインドブレーカー、パンツ、帽子、グローブ、そしてMC70のゴルフシューズ。2000年代前半のファッションやスケート、ストリート文化をゴルフへ持ち込む内容で、adidas自身が「adidas Golf」の企画として発表している。
2017年の売却から9年たっても、服と靴の側ではゴルフを続け、それどころか別の文化を取り込む商品まで作っている。
「TaylorMadeを売った=ゴルフ撤退」ではなかったことが、時間を置くとよりはっきり見える。
TaylorMadeとadidasは、別々に進んだ
TaylorMadeはKPS傘下へ移り、adidasの傘下を離れた。
一方のadidasは、クラブメーカーを自社で抱える形をやめても、ゴルフの服と靴は残した。
これは、企業がスポーツ市場から撤退する時の話とは少し違う。
「ゴルフをやるか、やらないか」ではなく、「ゴルフのどこを自分たちがやるか」を選び直した話だ。
ゴルファーから見ると、TaylorMadeのクラブとadidasのシューズは、かつて同じ企業グループの中にあった。その組み合わせが2017年に分かれた理由をたどると、巨大スポーツ企業がブランドを持つ意味も少し違って見えてくる。
強いブランドを持っているから、何でも抱え続けるとは限らない。
adidasが2017年に残した答えは、クラブではなく服と靴だった。そして2026年、その選択はまだ続いている。
出典:adidas-group.com(2) / news.adidas.com
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