FedExCup最終戦の「首位-10」はなぜ6年で消えたのか
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- 2019年、PGA TOURは最終戦の首位を10アンダーから始める方式を導入した。
- 狙いは大会優勝者と年間王者を一本化すること。
- ところが2025年に廃止され、2026年も全員イーブン。
FedExCup最終戦のTOUR Championshipでは、2019年から2024年まで、最終戦が始まる前から首位の選手に「10アンダー」が与えられていた。2位は8アンダー、3位は7アンダー。まだ1打も打っていないのに、選手ごとにスコアが違う状態から4日間が始まる。
この方式はStarting Strokesと呼ばれた。PGA TOURが突然奇抜なルールを持ち込んだわけではない。狙いは、FedExCupの年間王者をもっと分かりやすく決めることだった。
ところが、その仕組みは6年間で終わる。2025年から全員がイーブンでスタートする通常の72ホール戦へ戻り、2026年も同じ方式が続いている。
なぜ一度は「首位-10」が必要とされ、なぜ消えたのか。そこには、年間を通じた強さを報いることと、最終戦を純粋な競技として見せることの難しい両立がある。
そもそも旧方式は何が分かりにくかったのか
Starting Strokes導入前のFedExCupには、最終戦そのものの優勝争いと、年間ポイントによるFedExCup王者争いが同時に存在した。
その結果、TOUR Championshipで優勝した選手とFedExCup王者が別になることがあった。PGA TOURの2018年の説明によれば、FedExCup最初の11年間でこのケースは3回あった。
最終日の画面では、一つの大会を見ながら「この選手が勝っても年間王者は別の選手」という状況が起こり得る。PGA TOURが2019年から変えたかったのは、この二重構造だった。
そこで発想を逆転させた。年間ポイントを最終戦の途中で計算し続けるのではなく、最終戦が始まる時点で順位差をスコアへ変換してしまう。
1位は-10、30位はイーブン
2019年に導入されたStarting Strokesは、FedExCup順位に応じて開始スコアを変える仕組みだった。
- 1位:10アンダー
- 2位:8アンダー
- 3位:7アンダー
- 4位:6アンダー
- 5位:5アンダー
- 6〜10位:4アンダー
- 11〜15位:3アンダー
- 16〜20位:2アンダー
- 21〜25位:1アンダー
- 26〜30位:イーブン
つまりFedExCup首位は、26〜30位の選手より10打前から大会を始める。
PGA TOURは、この差を旧ポイント制度で各順位の選手が年間王者になる確率にできるだけ近づけるよう設計したと説明している。年間を通じて上位にいた選手には大きな優位を残しながら、最終戦では一つの順位表だけを見ればいい形にしたわけだ。
この制度が確実に解決したことが一つある。TOUR Championshipの勝者とFedExCup王者が必ず同じ人物になったことだ。
分かりやすくなった代わりに、最終戦へ「事前差」が入った
一つの順位表で年間王者まで決まる。それは明快だった。
その一方で、72ホールの大会として見ると、選手が第1打を打つ前から最大10打の差がついている。年間成績への報酬を、最終戦のスコアそのものに埋め込んだためだ。
ここがStarting Strokesの難しいところだった。年間王者決定戦としては筋が通るが、その週に最も少ない打数で72ホールを回った選手が、そのまま最終戦の勝者になるとは限らない。
2025年の方式変更を発表したPGA TOURは、ファン向け調査「Fan Forward」と選手側の検討を踏まえ、より競争性が高く、分かりやすく、魅力的な形式を目指したと説明した。翌日のPGA TOUR公式記事では、スコッティ・シェフラー、コリン・モリカワ、ザンダー・シャウフェレらが全員イーブンからの72ホール戦を支持し、シェフラーは旧Starting Strokesを好んでいなかったと話している。
公開された公式資料には、Starting Strokesへの賛否率や「何%のファンが分かりにくいと答えた」といった具体的な集計値までは示されていない。ただ、PGA TOUR自身がファンと選手の意見を根拠に、最終戦の設計をもう一度変えたことは確認できる。
2025年、全員イーブンへ戻した
2025年からStarting Strokesは廃止された。
出場する30人は全員イーブンからスタートし、72ホールで最も少ないスコアを記録した選手がTOUR Championship優勝者となり、そのままFedExCup王者になる。
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