4番もPWも37.25インチ 「全部7番アイアン」で10年残ったONE Length
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- 普通のアイアンは番手ごとに長さが変わるが、COBRAのONE Lengthは4番からPWまで37.25インチで揃える。
- 2016年のF7発表時から、単にシャフトを切り揃えるのではなく、番手別にヘッド形状や重量設計を作り直す思想だった。
- 2026年も現行製品として残っている事実は、「番手ごとに長さを変える」以外のセット設計が一過性ではなかったことを示している。
ゴルフショップで4番アイアンとPWを並べれば、普通は長さがかなり違う。
COBRAの現行3DP Tourアイアンでは、4番が38.75インチ、7番が37.25インチ、PWが36.00インチ。ところが同じCOBRAのKING TEC X ONE Lengthは、4番からPWまで全部37.25インチだ。
長い番手を短くし、短い番手を長くする。かなり大胆な発想だが、もっと面白いのは、この考え方が約10年たっても商品として残っていることだ。
「全部7番アイアン」は、シャフトを揃えるだけではない
転機は2016年だった。
COBRAは同年、ブライソン・デシャンボーと契約。10月にKING F7 ONE Lengthを発表した。メーカー発表では、セット全体を7番アイアン相当の長さと重量へ揃える一方、ロングアイアンからウェッジまで弾道と距離差が成立するよう、各番手の形状を作り直したと説明している。
COBRAの公式社史では、2017年を「ONE Length」の年として記録し、全番手を7番アイアン長さにしたフルセットを発売したとしている。
つまり発想は、「全部同じシャフト長にすれば簡単」というだけではない。
普通のアイアンセットが長さの差も使って番手ごとの役割を作るのに対し、ONE Lengthはその差を消す。その代わり、ヘッド側の設計で各番手の仕事を作り直さなければならない。
長さを固定すると、ほかの数字が動く
現行KING TEC X ONE Lengthの仕様を見ると、その構造が分かりやすい。
4番からPWまで長さはすべて37.25インチ。一方でロフトは4番19.5度からPW42度まで変わり、ライ角は65度から62度、オフセットも4.8mmから1.8mmへ変化する。
「同じ長さ」でも、「同じクラブ」が7本並んでいるわけではない。
比較用に同社の現行3DP Tourを見ると、4番38.75インチ、7番37.25インチ、PW36.00インチ。こちらは従来型のように、番手が下がるほどクラブ自体が短くなる。
ONE Lengthが消しているのは、アイアンセットを構成する変数のうち「長さの差」だ。そのぶん、ロフトやライ角、重心設計など別の要素で番手ごとの差を作る。
デシャンボーの奇策で終わらなかった
ONE Lengthを一気に有名にしたのはデシャンボーだった。COBRAの公式社史は、2020年の全米オープン優勝時に彼がKING Forged One Lengthアイアンを使っていたことも記録している。
ただ、10年後に見ると、本人の存在以上に興味深いのは製品側が残ったことだ。
2026年9月現在、COBRAの公式サイトにはONE Lengthの製品分類があり、日本向けにもKING TEC X ONE Lengthが掲載されている。
もちろん、これだけで「単一長アイアンが主流になった」とは言えない。市場占有率や販売比率を示す独立データは今回確認していない。
それでも、話題先行の一発商品なら、とっくに消えていてもおかしくない。少なくともCOBRAは、約10年にわたってこの設計思想を商品として残してきた。
「一つの構えで打てる」は、全員にとって楽ではない
2016年の発表時、COBRAは社内テストで精度や左右・距離のばらつきが改善したと説明していた。ただし、公開された発表文では試験人数や比較条件、統計手法までは示されていない。独立した比較試験の結論として扱うべき数字ではない。
道具として見るなら、魅力はもっと単純だ。
番手ごとに大きく構えを変えず、「7番アイアンの距離感」でセット全体を扱えること。
一方で、同社の現行別モデルと比べれば、4番は短く、PWは長い。従来型の長さに慣れている人ほど、ロングアイアンとショートアイアンの感覚は変わる。
だからONE Lengthは、「簡単なクラブ」というより、アイアンセットの設計思想を丸ごと入れ替えたクラブと考えた方が分かりやすい。
番手ごとに長さが違うのは、ゴルフクラブの絶対条件ではない。
4番もPWも同じ長さにして、それでもセットを成立させる。ONE Lengthが10年残った意味は、「当たり前だった設計ルールを一つ外しても、別の答えは作れる」と示したことにある。
出典:pluggedingolf.com / Cobra Golf 技術情報(2・3)
関連記事
スリクソン新ZXiに「5+」モデルを追加
3行まとめ
- スリクソンは次世代ZXiアイアンを4モデルで展開し、新たにZXi5+を加えた。
- 全モデルは日本の遠藤製作所で鍛造され、10月16日に発売する。
- ラインアップはZXi7、ZXi5、新設のZXi5+、ZXiUの4モデル。