Pro V1に販売差し止め。それでもブランドが止まらなかった理由
GOLF DNA編集部🇺🇸

3行まとめ
- 2008年、米連邦地裁は旧2007年型Pro V1/Pro V1xに2009年1月1日からの販売差し止めを命じた。
- しかしアクシネットは発効前に配合を変え、交換制度と新モデル投入でブランドを継続。
- 翌年には控訴審が差し止めを失効させた。
Pro V1が「販売禁止」になったことがある。
そう書くと、いまもゴルフショップに並ぶ白い箱とは結びつきにくい。だが2008年11月、米デラウェア連邦地裁は、当時争われていた2007年モデルのPro V1/Pro V1xについて、2009年1月1日から販売を差し止める命令を出した。
重要なのは、その次だ。
Pro V1というブランドそのものが消えたわけではない。メーカーはボールを作り替え、旧モデルの交換制度を用意し、新しい2009年モデルを投入しながら、同時に裁判でも争った。
最初の争点は「このボールが侵害したか」だけではなかった
Callaway GolfがAcushnetを提訴したのは2006年2月。対象は当時のPro V1系で、Callawayが保有する4件のゴルフボール特許の9つの請求項が争われた。
2007年の裁判では、Acushnet側が対象製品による侵害を前提にし、主戦場は特許そのものが有効なのかへ移った。陪審は9請求項のうち8つを有効と判断した。
そこで地裁が2008年11月10日に出したのが、2009年1月1日からの販売差し止め命令だった。
ただし、ここで「Pro V1全部が未来永劫販売禁止」と読むのは違う。
SEC提出書類で対象として記録されているのは、訴訟で争われた2007年モデルのPro V1/Pro V1xだった。
1月1日を待たず、メーカーはボールを作り替えた
Callawayの2008年年次報告書によると、Acushnetは2008年11月、すでに同年9月からボールの配合を変更していたと発表した。
さらに12月29日には、旧製品を改変版へ交換する「Retail Exchange Program」を発表した。
Fortune Brands側の後年のSEC提出書類では、2008年後半にAcushnetが「非侵害と考える」改変版を市場へ投入し、2009年2月には新しいPro V1系を発売したと説明している。
ここは言葉を分ける必要がある。
「改変版なら問題ない」と裁判所がその時点で確定したわけではない。実際、Callawayは2009年3月、その改変版と新しい2009年モデルについて別の2件の特許を侵害するとして、新たな訴訟を起こしている。
つまり、設計変更で争いが終わったのではない。
設計を変えながら、販売を続けながら、法廷でも戦い続けた。
そして差し止め自体がひっくり返る
2009年8月14日、米連邦巡回区控訴裁判所は地裁判断を一部覆し、差し止めを失効させて事件を地裁へ差し戻した。
争点の一つは、Acushnetが主張していた「先行技術から見れば、その特許はそもそも成立しないのではないか」という点だった。
再審は2010年3月。
今度は陪審がAcushnet側に有利な評決を出し、Callawayが主張した対象特許は、既存技術との関係で「自明」または「新規性を欠く」として無効と判断した。
2007年には8請求項が有効とされた。それが控訴を挟み、再審では逆方向へ動いた。
特許訴訟が一度の判決で終わらないことが、これほど分かりやすく出た例も珍しい。
最後は2012年、両社が全面和解した
争いはさらに続いたが、2012年4月13日、CallawayとAcushnetは係争中の訴訟や紛争について和解した。
CallawayのSEC提出書類によれば、金銭の支払いはなく、両社が互いの特許の下で一定のゴルフボールやクラブを製造できる権利を持つ形で決着した。その他の条件は非公開だった。
そして2026年9月現在、Titleist公式サイトにはPro V1が現行商品として普通に並んでいる。
Pro V1が止まらなかった理由は「裁判に勝ったから」だけではない
この話を単純にすると、「最終的に特許が無効になったからPro V1は助かった」となる。
でも実際の時間順はもっと面白い。
差し止め命令が出る。発効前に配合を変える。旧製品の交換制度を作る。新モデルを投入する。控訴する。特許庁でも再審査を進める。地裁で再び争う。さらに別の特許訴訟も走る。
出典:sec.gov(2・3) / law.justia.com / Titleist
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3行まとめ
- Pro V1とPro V1xは、米国だけでなくタイのBall Plant 4でも作られている。
- 同工場は2010年、アジア・欧州向けの製造・流通拠点として開業し、初年度100万ダースを計画した。
- Titleistは米国Ball Plant 3と同じ製造・品質保証工程を使うと説明し、2026年現在もタイ工場を公式拠点として掲載している。