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打たないボールがグリーンを4項目で測る

GOLF DNA編集部🇺🇸

コース設計を俯瞰するイメージ
3行まとめ
  • 全米ゴルフ協会の測定球GS3は、ゴルフボールと同じ大きさ・重さで、速さだけでなく硬さ・滑らかさ・真っすぐさを数値化する。
  • スティンプメーターとの役割分担、芝管理への使い方、2023年の発売から2026年の現行運用までを追う。
  • グリーンの速さを測る道具として知られるのがスティンプメーターだ。

見た目はゴルフボール。大きさも重さも同じだが、打つための球ではない。全米ゴルフ協会が2023年に発売した「GS3(ジーエススリー)」は、グリーンの上を転がし、別の測定では落として使う。

狙いは「速いか遅いか」だけでグリーンを見ないことだ。GS3が測るのは、速さ、硬さ、滑らかさ、真っすぐさの4項目。管理者はこの違いを分けて見ながら、刈り込みや転圧、散水などを判断できる。

速さ以外も、同じ測定体系で見る

グリーンの速さを測る道具として知られるのがスティンプメーターだ。全米ゴルフ協会は硬さについても2005年から別の機器で測定しており、2023年にGS3へ切り替えた。

つまりGS3の意味は、初めて速さ以外へ目を向けたことではない。速さに加え、硬さ、滑らかさ、真っすぐさを一つの測定体系で扱えるようにした点にある。

GS3は通常のゴルフボールと同じ大きさ・重さで、内部では1万5000点を超えるデータを取得する充電式の測定器だ。公式資料から確認できるのは、同じ大きさ・重さの球をスティンプメーターから転がして測る設計であることまでで、その寸法と重量にした設計上の理由そのものは明記されていない。

6回転がして3項目、落として硬さ

速さ、滑らかさ、真っすぐさは、GS3をスティンプメーターから転がして測る。方向を変えて3回ずつ、合計6回だ。

速さは転がる間の減速度から算出するため、従来のように巻尺で距離を測る必要はない。滑らかさは転がり中の上下方向の跳ねや逸脱、真っすぐさは左右方向の揺れや逸脱を捉える。どちらも値が高いほど、滑らかでない、あるいは真っすぐでないことを示す。

硬さだけは方法が違う。専用の治具から一定の高さでGS3を落とし、治具がグリーン面へどれだけ入り込んだかをインチで測る。入り込みが小さいほど硬い。複数箇所での測定が推奨されている。

ここで重要なのは、GS3がスティンプメーターを不要にしたわけではないことだ。巻尺は不要になっても、GS3を一定条件で転がす発射台としてスティンプメーターは残る。

4つの数字は、速くするためではない

全米ゴルフ協会がGS3を位置づける目的は、最速のグリーンを競わせることではない。数字を管理判断へつなげることだ。

刈り込み、転圧、芝目を整える作業、ブラッシング、目砂、散水などが球の転がりへどう影響したかを比較できる。硬さは水分量や有機物の情報と合わせ、散水や管理方法を調整する材料にもなる。

ベルエア・カントリークラブでは、グリーン状態を記録して自コースの基準値を作り、管理判断へ使う例が紹介されている。ここで全国共通の「理想値」が出てくるわけではない。芝種、天候、グリーンの年齢、土壌、季節、コースが求める状態によって適正範囲は変わるため、全米ゴルフ協会も各コースが数か月のデータから自分たちの目標範囲を作る考え方を示している。

全米オープンでも使われ、研究にも入った

発売後、GS3は予算規模の異なる複数のコースに加え、全米オープンを含む全米ゴルフ協会の選手権で使われたと同協会が説明している。

2024年の全米アダプティブオープンでは、座位カートが走る前後で滑らかさ、真っすぐさ、硬さをGS3で測定し、管理システム「ディーコン(DEACON)」へ保存する実地研究にも使われた。単なる製品展示ではなく、実際のコースで変化を測る道具になっている。

2026年も4項目は現役

2026年9月の確認時点でも、ディーコンの管理画面にはGS3の速さ、硬さ、滑らかさ、真っすぐさが並び、GS3自体も現行製品として提供されている。

一方、測定方法が最初から固定された完成形だったわけでもない。全米ゴルフ協会は研究を続け、発売後およそ2年間で硬さを算出する仕組みを、より信頼性の高いものへ改修したと説明している。販売台数や導入コース総数、業界全体の普及率は公式には確認できない。

GS3が変えたのは、「速いグリーンほど良い」という新しい答えを作ったことではない。ひとつの速度だけでは見えにくかった硬さ、滑らかさ、真っすぐさを別々に測り、コースごとの管理判断へ戻せるようにしたことだ。グリーンの速さは、品質を語る数字の一つになった。

出典:USGA2345678

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