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マスターズ50年以上の映像が検索できるまで

GOLF DNA編集部🇺🇸

大会・選手をテーマにしたイメージ
3行まとめ
  • マスターズのデジタル観戦は、2019年のほぼ全ショット公開から、2020年の個人化、2023年の2万本超の自動音声解説、2025年の18万打超を使う分析、2026年の50年以上の映像検索へ広がった。
  • 増えたのは人工知能の機能数だけではない。
  • 観客が自分で選び、理解し、過去まで探せる情報の範囲だった。

2026年のマスターズでは、50年以上の最終ラウンド映像を会話形式で探せる「マスターズ・ボールト・サーチ(Masters Vault Search)」が加わった。検索の土台には映像だけでなく、1968年まで遡る結果データと、2015年まで遡る1打ごとのデータがある。映像には光学文字認識、音声の文字起こし、場面検出などを使い、過去の大会を言葉から探せるようにした。

ここだけを見ると、最新の人工知能検索を導入した話に見える。だが時間を戻すと、マスターズが広げてきたのは人工知能そのものより、「観客が自分で扱える大会情報の範囲」だったことが見えてくる。

出発点は2019年の「ほぼ全ショット」

2019年当時、オーガスタ・ナショナル会長のフレッド・リドリーは、全選手・全競技ラウンドのほぼ全ショットを撮影し、数分以内に公式サイトとアプリで見られる仕組みを説明している。開発には2〜3年をかけ、試験運用も行っていたという。

それまでのテレビ中継では、視聴者が見るショットは放送側が選ぶ。全ショット映像がそろうと、観客側が「この選手のこのホール」を追える土台ができた。

2020年には「マイ・グループ」が加わった。選んだ選手の全ホール・全ショットを、ほぼリアルタイムで並べる個人向けの映像フィードだ。アイビーエムの発表では、2019年大会だけでも2万本近いショット映像が収集・分析されていた。

映像を増やした次に必要になったのは、その大量の映像をどう理解するかだった。

2023年は2万本超の映像に自動音声解説

2023年、マスターズとIBM(アイビーエム)は、大会中の2万本を超える映像クリップへ人工知能による音声解説を付ける仕組みを導入した。

同じ年には、6年分・12万打を超えるマスターズの打球データを使い、各ホールで選手がどうプレーするかを予測する機能も提供された。

ここで変わったのは、単に「映像を見る」から、映像に説明や予測を重ねる段階へ進んだことだ。

人間が消えたわけではない。公開資料では、マスターズのデジタル担当とアイビーエムが共同で設計し、技術者や専門家がモデルを調整していることが確認できる。一方、生成された一つ一つの音声解説を人間が事前承認しているかは公開資料から確認できない。

18万打を使い「その一打の意味」まで示す

2024年には「ホール・インサイツ」が登場した。8年分・17万打を超えるデータを使い、ホールごとの状況を説明する機能だ。同時に、前年からの自動音声解説も残り、英語だけでなくスペイン語の音声・字幕へ広がった。

2025年の「ホール・インサイツ2.0」では、参照するデータが9年分・18万打超へ増えた。過去と当年の打球データ、球の位置などから予測や文脈情報を示し、元マスターズキャディーなどの知見も精度と説明の改善に取り入れた。

全ショット映像を置くだけでは、観客は自分で一球ずつ意味を読み解かなければならない。2023年から2025年の機能は、その一球に説明や過去データ上の位置づけを加える方向へ進んだ。

2026年は「今大会」から50年以上の過去へ

そして2026年、検索対象は現在の大会だけではなくなった。

ボールト・サーチでは、50年以上にわたる最終ラウンド映像を会話形式で検索できる。結果データは1968年、1打データは2015年まで遡る。たとえば映像の文字、実況音声、場面を機械で読み取り、過去の映像を探す入口にする設計だ。

一方で、それ以前の機能が一斉に置き換えられたわけでもない。2026年の発表では、3年目となるホール・インサイツに加え、人工知能によるハイライト、3分間のラウンド要約、マイ・グループなども継続している。

2019年から並べると変化は明確だ。まず全ショットを見られるようにした。次に自分の見たい選手を選べるようにした。そこへ自動解説と打球データの文脈を加え、最後は50年以上の映像そのものを言葉で探せるようにした。

「機能の効果」を示す数字はまだ見えない

機能の継続と拡張は確認できる。ただし、各機能ごとの実利用者数、視聴時間、検索回数、継続率、精度改善率といった効果指標は、今回確認した公開一次資料では確認できない。

そのため「人工知能導入で視聴時間が増えた」「新機能が人気だから拡張された」とまでは言えない。確認できるのは、2019年に作った全ショットの基盤がその後も使われ、個人化、自動解説、打球分析、過去映像検索へ機能が積み重なってきた事実だ。

マスターズがこの期間に広げたのは、映像の本数だけではない。放送で選ばれた場面を見るところから、自分で選び、一打の意味を読み、さらに過去まで掘り返すところまで、観客が大会を探索できる範囲そのものを広げてきた。

出典:newsroom.ibm.com234Irish Golferjp.newsroom.ibm.com

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