聖地の石張りはなぜすぐ消えたのか
GOLF DNA編集部🇬🇧

3行まとめ
- セントアンドリュースのスウィルカン・ブリッジ手前に設けられた石張りは、芝の摩耗を防ぐ合理策だった。
- ところが運営側は完成後の見た目と関係者の意見を受けて撤去。
- 2026年も芝の姿が続く。
2023年2月、セントアンドリュース・オールドコースの象徴、スウィルカン・ブリッジの手前に石張りが現れた。
ここで最初に切り分けたいのは、橋そのものを改造したわけではないことだ。工事の対象は、橋へ続く芝のアプローチ部だった。
問題は、その芝が持たないことだった。
セントアンドリュース・リンクス・トラストによれば、この場所には何万人ものゴルファーと数え切れない来訪者が通る。踏まれ続ける芝は傷みやすく、人工・ハイブリッド芝、天然芝の張り替えや播種なども試してきたが、長期的な解決にはならなかった。
石張りは、管理上は筋の通った答えだった
そこで試したのが、通年で耐えやすい石の路面だった。
運営側の狙いは単純な景観変更ではない。繰り返す摩耗に対し、より丈夫な表面をつくること。そのうえで、歴史ある周囲の雰囲気にも合う仕上がりを目指していた。
芝を何度も直すより、踏まれても傷みにくい素材へ替える。コース管理だけを見れば、合理性のある発想だった。
ところが、完成した姿を見たあとで判断が逆転する。
2月6日、運営側が撤去を決めた
リンクス・トラストは2023年2月6日、石張りを撤去して芝へ戻すと発表した。
公式説明で挙げたのは、実際の仕上がりを確認した結果、象徴的な場所の景観に合わないと判断したこと。そして、パートナー、関係者、ゴルフ界から寄せられた意見を踏まえたことだった。
翌2月7日には石張りの撤去作業が行われ、アプローチ部は再び芝へ戻す作業に入った。
ここを「ネットで批判されたから撤去した」とだけまとめると、話が雑になる。確認できる公式説明では、外部からの意見は判断材料の一つだが、運営側自身が完成後の見た目を確認し、この場所には合わないと結論づけている。
つまり衝突したのは、摩耗を減らしたい管理上の合理性と、「スウィルカン・ブリッジの前はどう見えるべきか」という景観への期待だった。
2026年も石張りは戻っていない
では、撤去から3年以上たった現在はどうなったのか。
2026年1月16日のセントアンドリュース公式写真では、橋のアプローチ周辺は芝の状態で、2023年に設けられた石張りは見当たらない。
同年5月の現地案内でも、来訪者は橋で写真撮影ができ、混雑時にはリンクス・トラストのマーシャルが横断を管理している。橋周辺が今も多くの人に使われる場所であることは変わっていない。
一方、石張り撤去後にどのような恒久的な芝摩耗対策を採ったのか、補修をどの頻度で行っているのかは、確認できた運営者の公開資料には示されていない。
だから「石張りを撤去して、摩耗問題も解決した」とは言えない。
確認できる現在地はもっと具体的だ。耐久性を優先して石へ替える案はいったん採用されたが、象徴的な景観との相性を理由に撤回され、芝へ戻した状態が2026年も続いている。
スウィルカン・ブリッジの手前で起きたのは、管理技術の失敗というより、何を守るかの優先順位を完成後に変えた出来事だった。
出典:twitter.com(2) / Golf Monthly(2) / Golf Business News / x.com / standrewsnow.co.uk
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