池へ戻った球と4年後の規則変更
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- 2019年、リッキー・ファウラーは救済後に止まった球が自然に池へ戻り、さらに1罰打を受けた。
- 2023年の規則改定は、この直感に反する結果へ狭い例外を加えた一方、「自然に動いた球は新しい場所から」という原則自体は2026年も残している。
- 当時の規則9.3では、風や水などの自然の力で止まっている球が動いても、動いたこと自体に罰はなく、原則として新しい場所からプレーする扱いだった。
2019年のWMフェニックスオープン最終日。リッキー・ファウラーは11番でペナルティーエリアから救済を受け、2度のドロップ後にプレースした球はいったん止まり、インプレーになった。
ところが本人が球から離れた後、雨と傾斜の影響で球は再び池へ戻った。ファウラーはもう一度救済を受けることになり、追加の1罰打。11番はトリプルボギーになった。それでも大会には優勝している。
本人が球に触れていないのに、なぜもう1打を失ったのか。そして、同じような場面が2023年から無罰で元へ戻せるようになったのはなぜか。
2019年は「自然が動かしたなら新しい場所」が原則だった
当時の規則9.3では、風や水などの自然の力で止まっている球が動いても、動いたこと自体に罰はなく、原則として新しい場所からプレーする扱いだった。
ファウラーの球も、救済後にいったん止まった時点でインプレーになっていた。その球が自然に池へ戻れば、池へ入った新しい位置が基準になる。そこから再び救済を受けるため、追加の1罰打が必要になった。
2019年版にあった主な例外は、いったん拾い上げて元へ戻したパッティンググリーン上の球だった。救済でドロップやプレースした球が自然に別の区域へ移る今回のようなケースを、元へ戻す例外はまだなかった。
2023年に加わったのは、かなり狭い例外
2023年から規則9.3に新しい例外が加わった。
ドロップ、プレース、リプレースした球がいったん止まり、その後に自然の力で動いて「別のコース区域」またはOBで止まった場合は、罰なしで元の場所へ戻す。
ここが重要で、自然に動いた球なら何でも戻せる規則へ変わったわけではない。
たとえば、通常のプレー中に風で球が動いた場合や、救済後の球でも同じ区域内で自然に移動した場合は、現在も「新しい場所からプレーする」という基本原則が残る。2023年の変更は、いったん規則に従って球を入れ直した後、その球が区域をまたいで動いてしまう場合に限った例外だ。
ファウラー一件だけで変わったわけではない
この改定は「有名選手が不運だったから救済された」という話でもない。
米男子ツアーの2023年公式解説は、ファウラーだけでなくチャーリー・ホフマンもWMフェニックスオープンで類似の状況を経験したことを、改定の背景として挙げている。
R&Aの規則責任者グラント・モアも、ファウラーの件で問題が議題に上がり、その後も高い水準の競技で同様の事例が複数起きたと説明している。検討されたのは、自然の力を尊重する単純な原則を残しながら、救済を正しく終えた球が別区域へ戻って追加罰につながるような、厳しく不必要に見える結果をどう避けるかだった。
つまり、2019年の一球がきっかけの一つになったとしても、それだけが唯一の原因ではない。
2026年も原則と例外は両方残っている
2026年現在のR&A規則9.3でも、基本は変わっていない。自然の力で球が動けば、通常は無罰で新しい場所からプレーする。
そのうえで、ドロップ、プレース、リプレースした球が別のコース区域またはOBへ自然に動いた時だけ、2023年に追加された例外を使って元の場所へ戻す。
日本ゴルフ協会も2023年ゴルフ規則を現行資料として掲載し、「追加の詳説」は2026年7月1日更新と案内している。
ファウラーの2019年の一件が面白いのは、珍しい不運だったからだけではない。「自然に動いた球は自然の結果を受け入れる」というゴルフの原則が、正しく救済を終えた球にまで同じ結果を求めると、どこで不合理になるのか。その境界が実戦で露出し、4年後に規則の例外として切り分けられたからだ。
出典:PGA TOUR(2) / USGA(2) / The R&A(2) / JGA(2) / National Club Golfer / Golf Monthly / linkedin.com
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