カフェイン研究でスコアとパットが逆転
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- カフェインでスコアやパーオンが良くなった試験がある一方、高用量では短いパットの成功数が落ちた試験もある。
- ゴルフ固有の研究を並べると、単純な「効く量」はまだ決められず、量だけでなく摂取条件と評価する技能を分けて読む必要がある。
- カフェインを飲めば、ゴルフは良くなるのか。
カフェインを飲めば、ゴルフは良くなるのか。研究を並べると、答えは「効く」「効かない」の二択ではない。
2016年の研究では、ハンデ3〜10の男性12人が36ホールの競技で、カフェイン条件とプラセボ条件を入れ替えて比較した。カフェインは1回あたり平均1.9mg/kgをラウンド前と9ホール終了後に摂取した。
結果は、平均スコアがカフェイン条件76.9、プラセボ79.4。パーオン数も8.6対6.9で、どちらもカフェイン条件が良かった。少なくともこの12人、この量、この競技条件では、18ホール全体の成績に好ましい差が出た。
ところが、別の研究を重ねると話は単純ではなくなる。
2009年には平均ハンデ15の男性20人を対象に、糖質とカフェインを含むスポーツ飲料が調べられた。カフェイン量は合計1.6mg/kgだったが、同時に糖質0.64g/kgを摂っている。したがって、そこで観察された変化をカフェイン単独の効果とは切り分けられない。
さらに2022年の学会発表では、ハンデ0〜10の男性10人が6mg/kgのカフェインを摂って18ホールを模した試験を行った。短いパットの成功数は、カフェイン条件5.1回、プラセボ6.3回。震え、緊張、胃の不快感もカフェイン条件で有意に高かった。
ここだけを見ると「量が多すぎるとパットが悪くなる」と言いたくなる。ただし、この研究は2026年9月時点でも査読済みの完全論文を確認できず、学会抄録の段階だ。参加者も10人で、2016年研究とは人数、量、試験環境、評価する技能が違う。
つまり、2016年のスコア改善と2022年の短いパット悪化を、そのまま一本の用量反応として結ぶことはできない。1回1.9mg/kgを2回摂る条件と、6mg/kgを一度に使う条件の差だけが結果を分けた、と証明されたわけではないからだ。
普段のカフェイン摂取量についても、まだ答えは薄い。2009年研究の参加者は平均157.3mg/日を日常的に摂っていたが、これは参加者の背景情報にすぎず、「普段これ以上飲む人は効きにくい」といった反応境界を示したデータではない。女性や高齢者を含め、誰にどの量が合うかを決められる材料もそろっていない。
2024年に公開されたゴルフ栄養の体系的なスコーピングレビューも、ゴルフ固有のカフェイン研究は限られていると整理している。そこでは2016年、2009年の研究に加え、3mg/kgで18ホール全体の成績指標に有意な改善が出なかった一方、シミュレーターの一部ドライビング指標では改善が見られた研究も扱われた。
レビューの体系検索は2023年12月21日まで。さらに2026年9月まで追加確認しても、2024〜2026年にこの問題を直接検証し直した新しいゴルフ固有の介入試験は確認されていない。
現在の材料から見えるのは、カフェインがゴルフ全体へ一方向に効くという姿ではない。ラウンド全体のスコアやパーオンに好結果が出た試験がある一方、より高い量を使った小規模試験では短いパットと副作用の信号が逆方向に出た。
しかも、その差を「低用量なら効き、高用量なら悪化する」と確定できるほど研究はそろっていない。量だけでなく、摂取のタイミング、参加者の技能、糖質の併用、測っているのがスコアなのか細かなパット動作なのかまで違う。
だから2026年時点の答えは、ゴルフに最適なカフェイン量が見つかった、ではない。条件によって好結果と悪化の両方が観察されているが、どこで切り替わるかはまだ確定していない。研究が示しているのは万能な攻略法ではなく、「何に効いたか」を分けて読む必要があるというところまでだ。
出典:pubmed.ncbi.nlm.nih.gov(2) / digitalcommons.wku.edu / link.springer.com
関連記事
「ゴルファーは5年長生き」の正体 30万人研究を読み直す
3行まとめ
- 「ゴルファーは約5年長生き」は、2009年のスウェーデン30万人研究から広まった。
- ただし5年は実測した延命年数ではなく、死亡率40%低下を寿命差へ換算した数字。
- 観察研究なので因果は確定しない。