「ゴルファーは5年長生き」の正体 30万人研究を読み直す
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- 「ゴルファーは約5年長生き」は、2009年のスウェーデン30万人研究から広まった。
- ただし5年は実測した延命年数ではなく、死亡率40%低下を寿命差へ換算した数字。
- 観察研究なので因果は確定しない。
「ゴルフをすると5年長生きする」。
ゴルファーにとって、これほど気分のいい研究結果はなかなかない。ラウンドの誘いを断る理由まで一つ減りそうだ。
だが、この「5年」は、ゴルフを始めた人を何十年も追いかけて、本当に寿命が5年延びたことを確認した数字ではない。
元になった論文を読むと、話はもう少し面白い。
30万人のゴルファーは、死亡率が40%低かった
有名な数字の出どころは、2009年に発表されたスウェーデンの研究だ。
研究チームはスウェーデンゴルフ連盟の会員名簿と全国の死亡登録を組み合わせ、30万818人のゴルファーを調べた。確認された死亡は1,053件。
年齢、性別、社会経済階層を考慮して一般人口と比べると、ゴルファーの標準化死亡比は0.60だった。
簡単に言えば、基準を1としたとき死亡率が約40%低かった、という結果だ。
さらにハンディキャップが低い群では0.53、最も高い群では0.68だった。
ここだけ読むと、「上手いほど長生き」に見える。
ただし、それは証明されていない。
低ハンディの人ほどよく歩き、頻繁にプレーし、健康管理に熱心だった可能性もある。所得や生活習慣など、研究で完全には取り除けない差もあり得る。
「5年」は実測値ではなく、40%を寿命へ置き換えた数字
論文自身も、死亡率の40%低下をすべてゴルフの身体活動で説明できるとは断定していない。
そして有名な「約5年」は、この40%という死亡率差を分かりやすく寿命の差へ置き換えた説明だった。
つまり、
「ゴルフを始めた人は5年長生きした」
という実験結果ではない。
正確には、
「このスウェーデンのゴルファー集団では死亡率が一般人口より40%低く、その差は寿命に換算すると約5年に相当する」
である。
似ているようで、意味はかなり違う。
その後の研究は、きれいに同じ答えになっていない
もしゴルフ自体に強い延命効果があるなら、別の大規模研究でも同じくらい大きな差が出そうだ。
ところが、結果は一枚岩ではない。
2020年に米国の成人1万7,938人を追跡した研究では、歩行、自転車、ランニングは死亡リスクの低下と関連した一方、ゴルフは人口統計や既往症、他の身体活動などを調整すると、独立した関連が確認されなかった。
一方、2022年のNIH-AARP研究では27万2,550人、平均年齢70.5歳を平均12.4年追跡した。
この研究では、週7.5以上15未満MET時のゴルフをしていた人の全死亡ハザード比は0.93。非参加者より約7%低い関連がみられた。
ただし、2009年の「40%低い」と2022年の「約7%低い」を、そのまま優劣のように比べることはできない。
対象者も、比較方法も、調整した要因も違うからだ。
面白いのは、「ゴルフだけの魔法」ではなさそうなこと
2022年研究で死亡リスクの低下と関連したのはゴルフだけではない。
ランニング、ラケット競技、ウォーキング、水泳、自転車など、調べられた複数の余暇活動で同じ方向の関連が出ている。
研究者が最後に強調したのも、特定の競技を選ぶことより、本人が楽しめて続けられる活動を見つけることだった。
この見方なら、ゴルフの価値はむしろ分かりやすい。
18ホールなら数時間動く。歩けばかなりの距離になる。年齢を重ねても続けやすく、仲間と予定を入れれば外へ出る理由にもなる。
出典:onlinelibrary.wiley.com / pmc.ncbi.nlm.nih.gov(2) / pubmed.ncbi.nlm.nih.gov / bjsm.bmj.com
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3行まとめ
- 「ゴルファーは約5年長生きする」の出所は、2009年のスウェーデン約30万人研究。
- だが5年は個人の寿命延長を直接測った数字ではない。
- その後の系統レビュー、歩行とカートの比較、日本の高齢者研究まで追うと、ゴルフの健康効果と因果として言える範囲が見えてくる。