GD

ニュース

コラムその他

5つの層が5種類のショットを受け持つ

GOLF DNA編集部🌐

コース設計を俯瞰するイメージ
3行まとめ
  • 2009年のPenta TPは、5つの層にドライバー、ロングアイアン、ミドルアイアン、ショートアイアン、ウェッジの役割を分ける発想で登場した。
  • 2026年のTP5も5層を維持するが、中身はコア、空力、表面処理まで更新。
  • 残ったのは材料そのものではなく「1球の中で異なるショット性能を分業させる」という設計思想だった。

ゴルフボールを切ってみれば、層が多いほど高性能に見える。だが、5層化の面白さは「数」ではない。2009年のPenta TPでテーラーメイドが狙ったのは、ドライバーからウェッジまで性格の違うショットを、1球の中で役割分担させることだった。

当時の同社資料はPenta TPを「初の5層ゴルフボール」と説明している。親会社だったアディダスグループの年次報告書にも同じ位置づけがある。ただし、これはメーカー側の表現だ。全市場の歴代製品を独立して調べた資料までは確認できていないため、「世界で絶対に最初」とまでは言い切れない。

設計の考え方はかなり具体的だった。5層は、ウレタンカバー、外側の中間層、中央の中間層、内側の中間層、コア。メーカー資料では、それぞれに異なるショットの役目を持たせていた。

最も外側のウレタンカバーは、ウェッジで柔らかい打感と高いスピン、低めの打ち出しを狙う。外側の中間層はショートアイアンでスピンを確保しながらボール初速も狙う。中央の中間層はミドルアイアンで吹き上がりを抑えながらコントロール性を持たせる。内側の中間層はロングアイアンで高く打ち出し、スピンを抑え、止まりやすい弾道を狙う。そして中心のコアは、ドライバーで高打ち出し・低スピンと速度を担当する。

つまり、5層は「硬い球と柔らかい球のいいところを全部入れる」という曖昧な話ではなかった。インパクト速度も入射条件も違う5種類のショットに対し、どの層を強く働かせるかを変えるという設計思想だった。

Penta TPの開発期間は、同社資料で3年とされる。ここで重要なのは、完成した5層構造がそのまま現在まで残ったわけではないことだ。同じ「5層」でも、中身は世代ごとに作り替えられている。

2019年のTP5では5層構造を維持しながら、内側から外側へ複数の層を段階的に硬くする設計へ更新された。同社は、スピンを担う役割を残しつつ、ボール初速も高める狙いを説明している。5層という数は同じでも、Penta TPの各層をそのままコピーしたものではない。

2021年には、より大きく反応性を高めたコアと、新しいディンプル形状が加わった。変化の対象は内部だけではなく、空力へ広がった。5層の役割分担を土台にしながら、速度、スピン、打ち出しだけでなく、飛んでいる間の空気の流れまで設計対象になっていった。

そして2026年のTP5も5層構造を続けている。現行資料では、同社のツアーボールで過去最大とするコア、更新したディンプル形状、微細な表面コーティングが新しい要素として挙げられている。

ここまで見ると、Penta TPから17年残ったものが分かる。残ったのは、2009年の材料や厚みそのものではない。「1球の中で複数のショット性能を分担させる」という考え方だ。

では、5層なら2層、3層、4層より必ず優れているのか。

そこまでは確認できない。2019年の韓国ゴルフ学会誌の研究では、重量・ディンプル数・コンプレッションをそろえた2〜4層の試作球を機械打撃し、層構造の違いが一部の打ち出し角や球速、落下角に有意差を生むことが示された。ただし5層球は対象外で、5層が2〜4層より普遍的に優れることを示す研究ではない。現時点で、5層を含めて層数だけを独立に変え、あらゆるショットで優位性を示した比較は確認できない。

資料から読めるのは、5層化を性能順位ではなく、異なる要求を別の層に受け持たせる手段として使っていたことだ。ドライバーでは速度と低スピン、ウェッジではスピンと打感という、同じ1球の中でぶつかりやすい要求を、複数の層へ分けて扱う設計だった。

2009年のPenta TPは、その考え方を「5層で5種類のショットを受け持つ」という分かりやすい形にした。2026年のTP5では材料もコアも空力も表面処理も変わっている。それでも5層が残っているのは、層の多さそのものより、異なるショットを1球の中で分業させる設計思想が今も使われているからだ。

出典:annualreports.comTaylorMade 技術情報234kci.go.kr

コラムルール・安全
用具規則
🇺🇸

0.9インチ金属コアはなぜ適合した

3行まとめ
  • 中空の金属球を中心に入れたオンコアの初期ボールは、一度は不適合判断を受けた。
  • 2014年に米国ゴルフ協会が0.9インチ以下の剛性・中空コア例外を明文化した後、MA-1.0は適合球として登場。
  • 現在の規則にも残る境界と、設計思想がどう変化したかを追う。
記事を読む →
コラムその他
🇺🇸

ロブスター殻の球は15年後も研究中だった

3行まとめ
  • 2011年にメイン大学で生まれたロブスター殻の生分解ゴルフボールは、2018年に特許へつながり、2025〜2026年には発泡複合材や短期構造用途へ研究が広がった。
  • 公開一次資料で市販・量産は確認できないが、材料技術は15年後も続いている。
  • 米国特許10,065,080は、2011年3月24日の仮出願まで優先権をさかのぼる。
記事を読む →
コラムギア
クラブ
🌐

カーボンフェースに20年以上かかった理由

3行まとめ
  • テーラーメイドは2000年にカーボンフェース研究を始め、2022年のステルスで60層・26グラムの量産フェースへ到達した。
  • 20年以上かかった理由と、軽くしたフェースの重量をヘッド設計へどう振り直し、2026年まで発展させたのかを追う。
  • テーラーメイドの開発史によると、カーボンフェースの研究は2000年に始まった。
記事を読む →