カーボンフェースに20年以上かかった理由
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- テーラーメイドは2000年にカーボンフェース研究を始め、2022年のステルスで60層・26グラムの量産フェースへ到達した。
- 20年以上かかった理由と、軽くしたフェースの重量をヘッド設計へどう振り直し、2026年まで発展させたのかを追う。
- テーラーメイドの開発史によると、カーボンフェースの研究は2000年に始まった。
2022年、テーラーメイドの「ステルス」が登場したとき、目を引いたのは赤いカーボンフェースだった。だが、この材料転換の核心は見た目ではない。フェースを軽くすることで、ヘッドの別の場所へ重量を回せるようになったことにある。
メーカー公表値では、ステルスの60層カーボンフェースは26グラム。同等サイズのチタンフェースより40%軽く、面積はSIM2/SIM2 Maxより11%、2020年のSIMより約20%大きい。数字だけを見ると一気に完成した新技術のように見えるが、研究開始は2000年までさかのぼる。
始まりは2000年だった
テーラーメイドの開発史によると、カーボンフェースの研究は2000年に始まった。2003年にはチタンのカバーを付けた試作、2009年にはポリマー製カバーの研究へ進み、2012年には小規模な複合材フェースの生産設備も整えた。
その途中、日本向けの「グローレ・リザーブ」には70層のグラファイト複合材とウレタンカバーを使ったフェースが採用された。2012年の国内発表では、約10年の開発を経て、従来比で45%軽く、約30%大きいフェースを実現したと説明している。さらに、軽くした分の重量をほかへ配分でき、重心設計の自由度が高まったとも明記された。
難しかったのは軽量化だけではない
複合材は、もともとゴルフボールを繰り返し直接受ける用途のためだけに作られた材料ではない。開発側には、衝撃に耐える材料設計だけでなく、フェース表面の摩擦、乾いたときと濡れたときの打ち出しやスピン、高量産、接着という複数の課題があった。
ステルスでは60層のカーボン表面に薄いポリウレタンのナノテクスチャーカバーを設けた。メーカーは、この表面処理で乾湿時の打ち出しとスピン条件を整える狙いを説明している。
製造側の壁も大きかった。2016年には新製法による60層フェースへ進み、2018年にステルスの開発を本格化。2019年には高量産向け工場を発注し、2021年に完成した。さらに、完成した複合材フェースを鋳造ボディへ接着するための設備まで必要だった。
20年以上という時間は、ひとつの難問を解くためではなかった。衝撃、表面、製造、接着を順番に量産レベルへ持っていく時間だった。
26グラムで空いた重量をどこへ使うか
テーラーメイドがチタンからカーボンへ移した狙いとして説明しているのは、フェースそのものを軽くすることだ。製品責任者のブライアン・バゼルは、2000年代半ばにはフェース軽量化による衝突効率の可能性を認識し、チタンには重量面の限界があると考えたと振り返っている。
初代ステルスでは、プラスが10グラムのスライド式ウェイトへ重量を使い、標準モデルはより低く深い位置へ、HDは慣性ジェネレーターをヒール寄りへ配置した。同じカーボンフェースでも、余った重量の置き場所を変えることでモデルごとの性格を作り分けた。
カーボンだから自動的に飛ぶ、という話ではない。確認できる大きな変化は、フェースから削った重量を、重心位置や可動ウェイトなど別の設計要素へ振り直せるようになったことだ。
カーボンは2022年で終わらなかった
2023年のステルス2 プラスは60層フェースを残しながらカーボンソールと強化カーボンリングを加え、15グラムのスライド式ウェイトを搭載した。2024年のQi10ではカーボンクラウンやソールを組み合わせ、21グラムの後方ウェイトを採用。2025年のQi35では13グラムと3グラムの可動式ウェイトを前後で入れ替えられる構造へ進んだ。
そして2026年9月9日時点の現行Qi4Dにも、60層カーボンツイストフェースは残っている。標準モデルには9グラムを2個、4グラムを2個、計4個の可動式ウェイトが備わる。
ステルスを「世界初のカーボンフェース」と呼ぶのは正確ではなく、チタンの時代が終わったと断定できる材料もない。それでも、テーラーメイドにとって2022年は明確な転換点だった。
出典:thenewsmarket.com / TaylorMade 技術情報(2) / PGA TOUR / PR TIMES ゴルフ / taylormadegolf.jp(2・3) / sportsbusinessjournal.com / Golf Digest / GOLF.com
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