3メートルのパットは風で35センチ曲がる?
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- 3メートルのパットを平坦な人工芝で転がした2025年実験では、横風4m/sで停止位置が35.8cm横へずれ、追い風では65.5cm長くなった。
- ただし風速は芝面5cmで測定した一定風。
- 天気予報の風や天然芝へそのまま換算できず、2026年9月15日まで独立追試も確認されていない。
「パットは地面を転がるのだから、風の影響は空中を飛ぶショットほど大きくない」。そう考えたくなるが、3メートルの短いパットでも、条件をそろえると風だけで停止位置ははっきり動いた。
2025年に公表された実験では、平坦な人工芝の上を同じ条件で転がしたボールに横風・向かい風・追い風を当てた。右から左へ4m/sの横風を当てると、停止位置は平均35.8センチ左へずれた。追い風4m/sでは、無風より65.5センチ長く転がった。
数字だけを見ると、実戦でも「風が4m/sなら35センチ外せばいい」と考えたくなる。だが、この研究が面白いのは、むしろそこまで単純には使えないことだ。
3メートルでも横風で35.8センチ動いた
実験は室内の平坦な人工芝で行われた。距離は3メートル、グリーン速度はスティンプメーターで12フィート。風速は一般の天気予報と同じ高さではなく、芝面からわずか5センチの位置で2m/sと4m/sに設定した。
球は人が打つのではなく、パットを一定条件で転がせる器具のランプから発射した。無風で3メートル先の標的に止まるよう調整し、各風条件で20球ずつ停止位置を測った。
右から左の横風では、2m/sで平均17.0センチ、4m/sで35.8センチ左へずれた。転がっているボールでも、横から一定の風を受け続ければ横方向の停止位置が変わることを、実験では確認できた。
前から吹く風と後ろから吹く風は対称ではなかった
距離方向の変化も大きかった。
向かい風では、2m/sで28.0センチ、4m/sで41.8センチ短く止まった。一方、追い風では2m/sで31.0センチ、4m/sで65.5センチ長くなった。
同じ風速なら、追い風で伸びる量と向かい風で縮む量が同じ、という結果ではない。
著者らは、追い風ではボールが止まるまでの時間が長くなり、風の力が働く時間も長くなるため、受ける力積が大きくなると説明している。逆に向かい風では相対的な風が強くなって早く減速し、作用時間が短くなるという解釈だ。
ただし、実験で風力や作用時間を別々に直接測って、この説明を検証したわけではない。停止位置の非対称性は測定結果で、なぜそうなったかは著者による物理解釈として分けて読む必要がある。
「天気予報で風速4m/s」とはまったく同じ条件ではない
実戦へ持ち込む時に最も重要なのが、風速を測った高さだ。
この実験の2m/s、4m/sは芝面から5センチで測った値だった。一般の気象情報の風速は通常10メートルの高さで測られる。著者らも、10メートルの風速をグリーン直上5センチへそのまま当てはめられないと明記している。
原著では高さの違いを換算する粗い例も示しているが、使うモデルによって推定値は大きく変わる。実際のグリーンでは地形、周囲の植生、芝、傾斜などでも地表付近の風は変わる。
つまり、天気予報が「風速4m/s」だから、この実験の35.8センチや65.5センチをそのまま補正量にすることはできない。
風以外をかなり消したからこそ見えた差
研究では7台の送風機を使い、25地点に置いた綿糸で風向を確認した。12地点では熱式風速計を使って、設定値から±0.3m/s以内になるよう風を調整している。
さらに、同じ人工芝の軌道を何度も球が通ることで表面状態が変わる影響を減らすため、5球ごとに掃除機をかけて芝面を整えた。
これは実戦をそのまま再現する実験ではなく、逆に「風以外をできるだけ固定したら、ボールの停止位置はどれだけ変わるか」を見た実験と考える方が近い。
そのため、天然芝の芝目、傾斜、突風、風向の変化、別のグリーン速度、違うパット距離へ同じ数値を広げることはできない。
実戦で使えるのは「35センチ」という答えではない
2026年9月15日までの確認では、天然芝、傾斜、別のグリーン速度や距離で同じ設計を使った独立追試は確認できていない。現時点では、単一の室内人工芝実験として見る必要がある。
それでも、この結果には実戦を見るうえで意味がある。
風の影響は空中を飛んでいる球だけに限られず、グリーン上を転がっている間にも生じ得る。しかも同じ3メートルでも、風向によって横ずれだけでなく転がる距離まで変わった。
ただし研究が示したのは、特定条件で風が停止位置を変えたことまでだ。「横風4m/sなら35センチ」「追い風4m/sなら65センチ」という実戦用の補正式を示したわけではない。
この研究から持ち帰れるのは数字そのものより、強い風の日のパットではグリーン面近くの風も変数になり得る、という事実だ。実際の補正量は、その日の地表付近の風、芝、傾斜、速さがそろって初めて決まる。
出典:International Journal of Golf Science
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